東京六本木ロータリークラブ




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卓話『元ホワイトカラーがローカルで第一次産業に参入して見えてきたこと。』2026年4月6日

GOOD GOOD 株式会社 創業者 野々宮 秀樹様

GOOD GOOD 株式会社 創業者 野々宮 秀樹様

私はもともとホワイトカラーでしたが、今から9年前に金融業から第一次産業に転じまして、九州と北海道で合計500ヘクタール余りの畜産業と農業を営んでおります。

私は金融出身なので、資本というものはお金に等しいものかなと思い20年過ごしてまいりました。しかし事業経営をしていく中で、資本というのはお金だけなのだろうかと感じられる局面が何度かあったのです。私自身はバランスシートマニアだったので、その中に納まっているものを資本として見ていたのですが、もしかするとバランスシートの外側にあるようなものが資本となり価値創造の原資となるのではないかと感じて、お金以外の資本を扱えるようになりたいという思いで、金融業から離れて今畜産業を行っています。

事業のコンセプトが2つありまして、ひとつは近年のスタートアップの在り方です。スタートアップ界隈は「10年以内でイグジットする」といった短期志向の資金がたくさん流れ込んでいて、どうしても近視眼的な短時間のなかでの価値創造になりがちです。これに違和感を抱いており、もう少し長い時間軸で事業に取り組めないかと感じておりました。

もうひとつは日本の食料の生産基準に関しての根本的な不安です。食料自給率はカロリーベースで国内38パーセント程度、営農者の平均年齢は65歳程度と言われています。これから先15年、20年先の日本の食料供給はどうなっていくのかと不安を感じ、私が今まで培ってきたノウハウを幾分か第一次産業に投入できるのではないか、そうすることにより食料自給率の向上や、新規就農の担い手に対して新しいアイデアを持ち込めるのではないかなと考えました。

具体的には何をしているかというと循環型畜産です。今までの日本の畜産は海外のバイオキャパシティに頼り、海外から飼料を持ち込んで、日本国内で家畜に給餌をして、堆肥を運び出すということが一般的でした。対して我々はなるべく新規マテリアルの導入が少ない畜産を行っています。

大きな放牧地で家畜が牧草を食べて、その糞尿が翌年の牧草の再生産につながる、そして狙い通りのお肉を取り出す、さらにこれに「エシカル、エコ、ヘルシー」という意味合いを付けて、そこに価値を付けて収益を出す、その収益を再度大自然の保護に再投資することで、ある意味半永久的にお肉が地面から取り出し続けられるような畜産になっています。海外マーケットも含めて考えると循環型畜産はすごく理にかなっているのです。

担い手に関しては、農業を高収益事業にしていかないと、なかなか優秀な人材が入ってきてくれないので、農業をいかに高収益に持っていくかということにチャレンジしています。

日本国内では農業をして、それを加工して販売するというのが一般的です。その上に農業体験や飲食、宿泊があったりするところまでが多いです。

一方、ヨーロッパの方を見ると、アグリツーリズムなどを通して「文化」という要素が加えられています。生産があって、加工があって、体験があって、どうやって食材を作っているのか、人はなぜお肉を食べるのだろう、そういった意味合いを付加することによって、その意味、知識、知恵も一緒に消費する仕組みになっています。通常の畜産農業収益に対して知識、教育を含めた文化を乗せたコミュニケーションを取り続けることによって、さらに農地、農業に愛着を持ってくださるのです。そうすると結果的にロングテールでのバイイングにつながります。こういう形での事業を私たちは推進しています。

日本は食に関しては世界ではかなり先んじたイメージがあります。ただ実際はどちらかというと調理の方が注目されていて、日本の「料理」、「食」は最先端というイメージがついているのです。生産現場もこれからさらに日本国内オリジナルの食材を作り出し、世界に向けて発信していく必要があると考えます。これからどのように第一次産業を考えていくのかはかなり重要であり、闇雲に低単価のものを大量生産するというよりは、そこに文化的な意味合いをつけることによって、日本の価値というものはさらに上がっていくのではないかと第一次産業の現場にいて感じられました。

時間軸が長くないと作られない価値もあります。価値を上げるということも収益性につながるので、日本で今後より強く太く長く利益を創出し続けるような取り組みをしていけるような事業者をどんどん増やしていかないといけないと思います。

そして今、多様な資本がすごく重要になってくる局面に差し掛かっていると思います。ヨーロッパの国々の方はやはり上手です。それは文化背景に対して、しっかりと資本性を感じている国、歴史のある国が多いからです。日本も本来そうだったはずです。ただ、やはり近年経済成長というものが優先されていた事実がありますので、日本人として、日本国として、本来あるところから少しずれているような気もするのです。このあたりを今後微調整していくことが肝要かなと感じています。

本日はありがとうございました。

卓話『カンボジア支援活動24年を振り返って』2026年3月30日

認定NPO法人カンボジアの健康及び教育と地域を支援する会 副理事長 田口 嘉孝様

認定NPO法人カンボジアの健康及び教育と地域を支援する会 副理事長 田口 嘉孝様

SCHEC「認定NPO法人カンボジアの健康及び教育と地域を支援する会」は、井戸の掘削事業、学校建設事業、歯科診療活動の3つを大きな柱としています。

1999年、カンボジアの中でも貧しい地域であったシェムリアップ州で井戸掘削事業を開始しました。雨季があるカンボジアでは2から3メートル掘れば水は出ましたが、濁っていて飲み水には不適切だったため、深さ25メートルの手押しポンプ付の井戸を掘って綺麗な水が出るようにしました。ポンプの下にはコンクリートを貼り、寄付をしてくれた方の名前などを綴った看板を立てています。それまでのカンボジアは水がめに貯めた雨水か、地面に掘った穴に貯めた不衛生極まりない水を利用していました。水がめにボウフラがわくのは酸素があって良い水だと教えられましたが、マラリアの発生源にもなってしまうため、改めて手押しポンプ付の井戸が大事だということに気付きました。NPO法人を設立する前に82本の井戸を掘り、この4月に4000本を達成しました。現在は雨季を避けて年に2回、4月と11月にカンボジアを訪れて井戸の視察を行っています。

学校建設事業は、鉄筋コンクリート造りを基本としています。以前は壁をヤシの葉で葺いたり、老朽化した校舎の建て替えを行っていましたが、最近では増える一方の子どもに合わせて校舎を増設しています。わたしが1993年に初めてカンボジアに来た時に比べて人口が倍に増えており、ポル・ポト時代にたくさんの人が殺されたことが関係していて平均年齢は27歳、大半がまだ子どもです。昨年11月に40校目を建設しました。

歯科診療治療は11月に1回、村人たちの治療を行っています。昔は治療機材が無くて、やむなく一番痛い歯を抜歯するしか治療法がありませんでしたが、その後ポータブルユニットによって歯を保存しながらの治療ができるようになり、これまでに診療した人数は1万5000人を超えます。学校ではブラッシング指導を行い啓発に努めています。綺麗な水がなければ歯を磨く気にもならないと思いますが、最近では習慣ができ、井戸の周りに歯ブラシや歯磨き粉が置いてある光景を見かけるようになりました。

なぜカンボジアだったのでしょうか。それは1988年まで遡ります。知人にカンボジア難民キャンプの訪問に誘われ、国境地帯にある難民キャンプに支援物資を届けながら回りました。それまでまったくカンボジアに興味はありませんでしたが、以来新聞などで記事を見ると、大きく目に飛び込んでくるようになりました。自衛隊の駐屯地であったタケオを毎年訪ね、PKO隊員との間に生まれた子どもを育てる女性と知り合った時、この小さな女の子が20歳になるまでカンボジアに関わり続けるんだなと漠然と思いました。また1999年には井戸が1本200ドルで掘れるということを知り、ここでもまたなんとかしようと漠然と思いました。それが今でもカンボジアにこだわり続けるきっかけです。

大宮シティロータリーで確信犯的に井戸の話をしたところ、その場で2本掘るよと声があがり、わたしが掘ろうと思っていた2本と合わせて4本掘ったところからスタートしました。歌舞伎町で飲み歩きながら宣伝をしていたら、自分たちも掘りたいと言ってくれる方がたくさんいて、寄付が集まるようになり、NPO法人立ち上げ前に82本掘ることができました。NPO法人設立後、今まで掘った82本と同じだけの寄付がたった3日間で集まりました。さらに300万円の寄付があり、嬉しい悲鳴が出たほどでした。

カンボジアの雨季は毎日のように大粒のスコールがあるため、11月と4月に活動をしています。かつてはまったく整備されていない赤土の道路だったところが現在はアスファルトの整備が進んでいます。農村の奥地まで比較的スムーズに行くことができるようになったことに伴い、井戸を設置する場所も範囲は今も広がっています。

カンボジアの経済成長率は5%台で推移しています。都市部と農村部の格差は広がるばかりではありますが、電気はタイから輸入して行き渡るようになり、小型のソーラーパネルも見かけるようになりました。水道も都市部を中心に整備されつつあります。2023年に水道法が公布され、北九州市の水道局などの支援で成立しました。これはプノンペンの奇跡として有名で、水道整備事業に人材派遣や浄水場建設などで20年以上深く関わり、さらに北九州市の団体が2024年12月から10年間水道事業運営を行うことが決まりました。日本から20億8100万円を上限として貸し付けることも決まり、しかしこうした補助金は、都市部や広大な開発地に優先され、農村地帯に水道がひかれるのはまだまだ先のことです。故に農村地帯にポンプ付井戸はまだまだ必要とされているのです。

貧困の定義は、極度の貧困、中程度の貧困、相対的貧困の3つに分けられています。極度の貧困とは、生存に必要な最低限のものを得られない状態、長期的な餓え、医療の貧困、安全な飲料水や衛生設備の不備、子どもの教育の欠如などで、発展途上国にしかありません。中程度の貧困は、基本的な要求は満たされているものの、まったく余裕がないギリギリの状態、そして相対的貧困は一家の収入がその国の平均より低い場合で、文化的な商品や娯楽、質の良い医療や教育など、上級国民の特権から排除をされている状態です。東南アジアの中でも比較的安定した経済運営にあるカンボジアですが、都市部と農村部の格差がますます拡大する中で、今あげた3つの貧困が混在している状態だと言えるかもしれません。

カンボジアはマイナスからの出発です。まだまだ発展の道半ばだと言わざるを得ません。

ご清聴ありがとうございました。

卓話『日本の婚活の現状と地域創生について』2026年3月23日

株式会社IBJ 代表取締役社長 石坂 茂様

株式会社IBJ 代表取締役社長 石坂 茂様

株式会社IBJを起業してから今年でちょうど20周年になります。それまでの結婚相談所や情報サービスは、どちらかというと会員をとにかく増やし、結婚しないで長くいればいるほど企業が伸びるというような方程式になっていました。わが社は結婚相談所や婚活の会社としては初めて日本の人口減少と少子高齢化問題を解決するというビジョンを描いて創業した会社です。業界で初めて成婚料をきちんといただき、お客様とベクトルを合わせ、「成婚主義」という言葉を描いて、今では日本で一番の結婚数を出している会社です。年間2万組以上成婚までサポートを行い、年間の成婚24~25組に1組がIBJカップルというところまできました。人口が減り結婚も減っている中で、JASDAQに上場した2012年から、IBJは伸びないと言われ続けてきましたが、それに反してずっと伸び続けており、それだけニーズがあるということだと思います。

婚姻組数と出生数は20年前と比べて30%減少しています。都市部を中心に多様なパートナーシップが受容されるようになり、結婚を選ばないカップルも増えてきていますが、実際には8割以上の方はいずれ結婚するつもりという考えがあります。しかし50年前とは違い、言葉を選ばずに言うと、自分の人生にとって都合がいい、ライフスタイルに悪影響を及ぼさない方と結婚をしたいと考えている方が多いようで、相手を選ぶ傾向、即ち結婚組数が減少していくという状況にあります。

内閣府が行った少子化対策に関する意識調査では、特になにも行動を起こしていないという若者がとても多く、男女ともに若者の3割強が異性との交際経験がないという結果に繋がっているのだと思います。ですから、結婚相談所は昭和の遺物のようになっていた節もあったのですが、実際は人の手を介したサポートを若者が求めていると言えると思います。

マッチングアプリはスマートフォンの普及とともに当たり前になってきていて、本気度に関わらずたくさんの方が経験しているのですが、引き合わせ後のサポートが全く無いことが結婚相談所との違いです。結婚相談所は一般の恋愛を経た結婚を凝縮して行うので、3~6か月を目途に結婚の意思決定まで持っていきます。創業したころは、結婚相談所は目立たないように看板を出すな、利用する方はモテない人の集まりだという風に言われていました。しかし今ではスマートフォンやSNS、マッチングアプリの普及によってサービス利用の敷居が下がり、ポジティブな意識変容が見られます。この10年15年で結婚相談所を含めたサービスを利用して結婚する方が2.3倍に増え、いかに一般的になったかということが見て取れると思います。色々なサービスがある中で非常に数が多いのはやはりマッチングアプリで、男性は月額5,000円ほど、女性は無料ということが多いです。対して結婚相談所は男女ともにほぼ同料金を頂戴しますので、女性にとってはハードルが高いと思われがちですが、マッチングアプリは結婚が目的ではない人もたくさんいますし、恋愛に対して苦手意識がある方やプロに相談しつつ婚活をしたいという方に利用していただいています。やはり若者がスマートフォンを当たり前に利用し、合理的に回り道なく良い方と出会いたいという趣向が高まっていますので、マッチングサービスの市場規模や利用ニーズは今後も拡大していくと考えています。

日本では少子化や人口減が大きな課題となっていますが、特に地方の人口減少や高齢化は非常に深刻で、出生率減少のワーストランキングの東北、その他北海道や新潟、高知、愛媛などを含め、4割以上のハイスピードで減少しています。東京都で昨年マッチングアプリをスタートしたのは有名で、小池都知事肝いりの政策ではあるのですが、多くの若者は相手を探しに東京に来ているわけではありません。ですので、東京でマッチングの機会を作るというよりは、地方で若者が結婚して子どもを産み育てることを実現したいところです。日本の大半は地方に属し、地方が第一次産品を作り、労働力を提供し、多くの役割を果たしています。そこが縮小してしまうことの問題が多々あると考えたほうがいいわけです。

仙台市は東北で一番大きな都市で、東北全体から年間1万3000名が転入しています。ところが仙台から首都圏に同じくらい流出しているという問題があり、ダムの役割を果たせていません。また大都市圏である名古屋も2019年以降転出超過エリアに転じていますので、たとえ大都市圏であっても人口が流出してしまっている現況を念頭に置いておくべきだと思います。

少子化の根本的な原因は、未婚化と晩婚化です。日本は子育て支援に力を入れていますが、結婚した女性が生涯産む子どもの数を示す完結出生児数はそこまで下がっておらず、実はそこまで子育て支援をしなくても、結婚したカップルは子どもを産んで育てようという意識はまだあるということが分かります。これまで合計特殊出生率によって都市部を中心に子育て支援を進めてきていましたが、そのような政策のミスリードも正していくべきだと思います。しかしながら年齢別の初婚数や出産数を見ると、40年前と比べて20代で結婚する数はかなり減っており、これが晩婚化の現状です。さらに20代の出生数は激減しており、こういった現状も見ていかなければいけないことだと思います。頑張っているのは40代の女性で、数ではもちろん20代には及びませんが、40年前の6倍近くという数字が出ています。アラフォーというのは厳しい言葉ではなくて、むしろ仕事も恋愛も出産もどんどん輝いていくという言葉なのではないかと思っています。

このように20代から40代にシフトしている現状はありますが、やはり結婚しやすいのは20代で、我々は若い人にたくさん結婚をしていただきたいと思っています。今後は若い人に対しての結婚支援を考えていくべきですが、料金がマッチしていないことを問題視しています。国も重点交付金もなかなか機能しておらず、官民連携で施策を高めていきたいところです。

自治体や地方銀行も婚活事業をはじめています。少子化は待った無しの瀬戸際で、婚姻制度が重視される日本では結婚支援は最重要事項ですので、今後は企業だけではなく、行政と連携してできることはなんでもやるということが我々のスタンスです。皆様にも関心を持っていただき、ご協力いただけると嬉しく思います。

ご清聴ありがとうございました。



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