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国際ロータリー第2750地区 東京六本木ロータリー・クラブ The Rotary Club of Tokyo Roppongi

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卓話

2023年9月

卓話『皇室外交よもやま話』令和5年9月4日

東京六本木ロータリークラブ 苅田 吉夫会員

東京六本木ロータリークラブ 苅田 吉夫会員

まず今回の平成から令和へのお代替わりの感想。内外の要人2000名が参列し見守る中で新しい天皇皇后両陛下が歴史的な装束で高御座と御帳台にお登りになり、皇族方も同じく古式豊かな装束で周りにお立ちになり、陛下が即位を内外に宣明する詔をお読みになる。昔の絵巻物を見るような優雅で美しい式典だった。

新たに即位された天皇陛下は実に颯爽としてご立派で、皇后陛下も終始本当に晴れやかな笑顔で、お二方ともたちまち国民の心を掴まれたと思う。それから3年、新天皇、皇后陛下は国民の中ですっかり定着してこられたようで、喜ばしく思っている。

今回のお代替わりで特筆すべきことは生前御退位。歴史上は10回ぐらいあったが。明治以降、皇室典範では生前ご退位の規定は設けられず、当然のこととしてご逝去をもって御代替わりが行われてきた。

今回は天皇陛下ご自身が生前ご退位の意向を示され、国民の多くは長い間ご苦労された陛下のご意向を支持したので、政府もその方向で検討を進め特例として決定された。

結果的には生前御退位の決定はとても良い結果をもたらした。新天皇は早い時期に即位されたことにより、これ以上長い皇太子の時期を過ごすことなく天皇の地位を継がれて内外で活動されており、平成天皇は厳しい任務を離れて伸びやかな日々をお過ごしである。両方のお姿を見て、ああよかったなあと感じる今日この頃である。

上皇さまは戦争が終わった時小学生で、昭和天皇が戦後の激動の時期を経て、平和憲法の下での象徴としての新しい天皇のあり方を徐々に模索し実現されていくお姿を見ながら成長され、ご本人も長年かけて新憲法の下での象徴天皇のあり方をじっくりと考えてこられたものと思う。

その形が常に国民とともにあり国民の幸せを祈る存在としての天皇。昭和時代と比べ国民との接触の機会が飛躍的に増えた。積極的に国内を回られ、各県2回以上。天災や、身体障害者へのご配慮も細やかであった。

膝をついて同じ目線で話される。初めの頃は違和感を持つ人もあったが、時と共に国民に受け入れられた。開かれた皇室、国民との距離がずっと縮まった象徴天皇の姿を30年間ずっと貫かれ、今となってみるとすっかり世の中に定着したと言える。国民の大部分は新しい象徴天皇のあり方を受け入れ、国民に支持される皇室になった。

私は宮内庁に出向して天皇陛下にお目にかかって以来常に、陛下が真摯に、心を込めて天皇としての任務に専念され、緻密すぎるぐらい細かい点についても疎かにせず、じっくりと考えて結論をお出しになる姿に常に深い感銘を受けていた。

浩宮様、現在の天皇陛下はそれまでのしきたりであった保母や保育官の廃止を特に皇后陛下が強く求められ、ずっとご両親のもとで育てられる方式に改められた。そのせいもあってか素直でまっすぐで思いやりのあるご性格に成長された。

平成天皇陛下の下にあって、皇太子時代は比較的目立たない存在。皇太子の役割はそのようなもの。いつももの静かでニコニコ微笑んでおられた。控えめの中でもしっかりとしたお考えをお持ちで、きちんと皇太子の役割を果たされた。

平成から令和への移行では象徴天皇のあり方については前提陛下の歩まれた道を殆どそのまま受け継がれ、きちんとその務めを果たしておられる。

皇后陛下はハーバード、東大、オクスフォードと世界の三大大学で学ばれ、外務省で活躍された才媛で、理想的な皇太子妃であり、みんなに祝福されてご成婚が行われたが、お世継ぎ問題などでの御辛労からか長い間健康が優れない状態が続いていた。最近はかなりご回復のご様子だがなかなか御全快の発表がない。皇后になられたらきっと御全快されると信じていたが、最近の生き生きとしたご活躍ぶり、心からの笑顔を拝見するとご全快発表の日も近いと思われる。お疲れになりすぎないように宮内庁も心を配っている。

平成の即位礼の思い出に戻るが、何事もスケールが大きいことに驚きつつ必死に準備を行った。式典に出席する150カ国以上の元首以下の賓客の席順から2800人を5回に分けて饗宴する食事の席順。最終的な案がまとまり、どこからもクレームが出なかった時はホッと胸をなで下ろした。

外国の来訪者や記者団を驚かせたのは200を超える車列を見事に整理して、1分刻みで宮殿に発着させる手際の良さ。これには各国出席者も例外なく舌を巻いていた。

信任状捧呈式は赴任してくる在京大使にとっては最大の最初のイベント。皇室では信任状捧呈式のあとお茶会、午餐会、園遊会、新年祝賀、天皇誕生日。伝統行事(鴨猟、長良川、御料牧場)など全大使が出席する行事が非常に多い。

平成天皇の最初の外国ご訪問はタイ、マレイシア、インドネシアご訪問。翌年は中国ご訪問。その後、ブラジル、アルゼンチン、英国、オランダ。北欧、東欧などお立ち寄りを含め17カ国のご訪問に携わった。多くの思い出があるが別の機会に譲りたい。



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