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国際ロータリー第2750地区 東京六本木ロータリー・クラブ The Rotary Club of Tokyo Roppongi

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卓話

2023年7月

卓話『ダイヤモンドの価値 投資の対象か』令和5年7月31日

株式会社グローバルダイヤモンド 代表取締役会長 小杉 元様

株式会社グローバルダイヤモンド 代表取締役会長 小杉 元様

わたしは元々自動車のエンジニアでした。なぜダイヤモンドに関わることになったのか、またダイヤモンドにまつわる様々なお話をさせていただきたいと思います。

大学を出て日産自動車に入社し、工場勤務を5年ほどしたあと、メキシコ工場の生産担当になり3年半後米国日産に異動なり、これまで自分がメキシコで造った車を月に5000台位米国に輸入し、1年半後日本に戻りメインである追浜工場の生産課長になったのですが、なにか事業を立ち上げようと考え、辞表を出しました。最初はカーエアコンの会社を立ち上げようと考えたのですが、たまたま目についたグラビア誌のアサヒグラフでベネズエラの山奥でダイヤモンドを掘っているガリンペイロのレポートを読み、面白いなと思い、1週間後にその山に入りました。

メキシコに長くいたので言葉の問題もなく、中南米の人間のマインドも分かっていたので抵抗はありませんでした。ジャングルの中で鉱石を砕いて川に運んで探り、1週間働いて採れたものを金曜日に売りに出します。凄まじい経験をしながら、ダイヤモンドが発掘されるところを全部見てみようと思い、アフリカ、ロシア、オーストラリア、カナダ、南米の採掘所を見て回りました。そして、ダイヤモンドは採れるところで顔が違う、その土地で採れたダイヤモンドはその土地の顔をしているということに気付きました。現地の人と知り合いになり、ダイヤモンドの流通経路や価格などを勉強しましたが、すぐに生計が立つわけではなく、日本ではどうしても売れませんでした。しかしレコード針はダイヤモンドが使われており、小さくて細かいダイヤモンドを買って持っていったら、これはいいということで、8000円で買ったダイヤモンドが18000円で売れたのです。これだと思いました。ダイヤモンドは大体現金取引なので、日本でお金をかき集めてベネズエラの山に入り、ダイヤモンドを買っては日本で売るということを繰り返して、なんとか会社の体を成すことができました。

ダイヤモンドは地球の物質の中で一番硬いものです。1万年という単位、地球の奥深くで約6~8Ghp(万気圧)の地圧とマグマの摂氏1,300度の温度により、炭素が天然のダイヤモンドになります。磨く前の天然ダイヤモンドはキラキラ輝いているわけではなく、ちっとも美しくありません。それをカッティングして研磨することで装飾用のダイヤモンドになります。ロシアやオーストラリアなどは大規模に機械で作業をしていますので量が沢山採れますが、ベネズエラのような原始的な方法で採取しているところでは、1カラット0.2グラムを採るために4トンの土砂を処理しなければならず、非常に効率が悪いためダイヤモンドの価格は高くなります。また天然のダイヤモンドはカッティングすると約1/3になってしまいます。1カラットの研磨したダイヤモンドを手に入れるには3カラットの原石が必要です。無理して採るとプロポーションが悪く、高く売れません。

ダイヤモンドは4C(Carat=重量、Cut=研磨、Clarity=傷、Color=色)で価格が決まります。しかし天然よりはるかに使用料が多いのは合成ダイヤモンドで、天然と同じ条件で炭素をホットプレスを使い高温、高圧で作るため、物性は同一です。天然は自然にできた為に品質にバラツキがあり工業用に使用するには品質の均一性や安定性、安価でなければなりません。現在日本では、天然ダイヤモンドは年間800万カラット、合成ダイヤモンドは2億5000万~3億カラットが輸入されていますが輸入金額は天然ダイヤモンドが大幅に上回ります。

ウクライナのキエフにある国立超硬材料研究所は1980年から合成ダイヤの弊社の取引先でしたが1991年12月にソ連が崩壊し、各共和国が独立し、ウクライナもその一つですがソ連の一地方自治体がいきなり国家だと言ってもお金がなく、超硬材料研究所もたちまち資金がショートし、材料も買えない、従業員の給料も払えなくなり生産に支障が生じ、弊社は非常に困り、生産に必要なお金は弊社が出す事になり合弁事業を立ち上げ翌年から稼働しました。しかし30年後の昨年2022年にロシア軍がウクライナに攻め入りキエフ制圧を目指し、工業地帯にある合弁会社は真っ先にミサイル攻撃を受け瓦礫の山となりました。しかしリスクを考えて2000年に中国にも生産拠点を作っていたので影響なくビジネスを続けております。

しかしウクライナの戦争が終結したら真っ先にキーウに駆け付け工場の再建を模索します。

装飾用のダイヤモンドで最高の値段がついたのはサザビースのオークション、12カラットの天然ブルーダイヤで、59億5000万円で落札されました。オークションで取り扱うのは必ずトップクオリティのダイヤモンドです。Rapaportというダイヤモンド価格表は、ダイヤモンド取引のプロが価格について参照している国際基準で、DからMまでの色とIFからI3までのグレードによって1カラットあたりの価格が決められています。一番グレードの良いIFはInternally Flawless 中に傷が全くない最高級のもので、投資用などで買うのであれば、Rapaportの枠内のダイヤモンドでなければ財産としての意味はないと思います。ダイヤモンドにブランドは関係ありません。また売っている場所によって全く値段が違いますので、買う時には必ずマーケットリサーチをしたほうがいいと思います。値段は実際の価値を表しているものではないということ、またGIAという鑑定書以外は意味がないという事を知っておいて頂きたいと思います。このGIAの鑑定書には天然か合成か明記されているので必ず天然ダイヤモンドを購入して下さい。

投資用として考えると、ダイヤモンドは一つの選択肢と思います。金は毎日相場表が公開され重量がある為に保管場所に苦労しますが換金性は良いのですが節税は困難です。

ダイヤモンドの価格は開示されず、節税が可能で、5cts=1g以上の高額なGIA付の大粒ダイヤモンドは品薄で値上がりが期待できます。

Rapaportは一般には開示されておらず、購入時は出来るだけ安く、売却時は国内で売らずサザビー又はクリスティー等の国際オークション会社任せる事です。

本日はご清聴ありがとうございました。



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