「つなげようロータリーの 丸で囲んだ「わ」 ! 」(=和・輪)

国際ロータリー第2750地区 東京六本木ロータリー・クラブ The Rotary Club of Tokyo Roppongi

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卓話

2020年10月

卓話『英国のEU離脱』令和2年10月5日

前駐英大使 鶴岡 公二様

前駐英大使 鶴岡 公二様

英国はEC共同市場からはじまり、40年以上EUの一員として続いてきました。しかし国民投票で、英国の主権が侵されているのではないかという議論があり、52%が離脱、48%が残留という僅差でしたが、最終的に離脱が多数であったということで、離脱の最終実現に向けて動いています。

感情が理性を上回る、主権侵害であるという訴えは、どこの国でも大きな力を持ちます。他方経済で見ると、英国は大きな市場である欧州に依存しており、貿易額の50%以上が欧州とのやり取りです。キャメロン政権は10年程続いてきましたが、キャメロン首相と財務大臣であったオズボーンは、英国経済の健全化のために緊縮財政を維持してきました。保健衛生や医療関係、治安など、予算的に相当厳しい対応であったため、中産階級以下の人たちは不満を持っていました。その社会的効果とも相まって国民全体に不満が蔓延し、格差の拡大がSNSの発展を通じてよく見えるようになりました。また主要都市と地方の格差の拡大は、英国全土にわたってキャメロン政権に対する不満を大きくしていたとと思います。

EU離脱において、離脱を主張する側は、問題提起によって改革を進める声を上げることができます。一方で現状維持派は、今が一番だということを証明しなければなりません。残念ながら現状は必ずしも英国民全体にとって良いものとは見られていません。従って、離脱による主権の制限の回復、EUへの分担金も必要ない、このようなことが利点として示された時に、残留の理由を説得力を持って議論することができませんでした。政治的にも、英国の保守党の中で離脱と残留について見解が分かれており、キャメロン内閣自体が残留を内閣の方針として示すことができませんでした。

通常英国というと、まとまった一つの国であるかのように思われますが、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドから成り立つ連合王国です。国民投票では、85%の人口を占めているイングランドと5%のウェールズが離脱を選択しました。スコットランドと北アイルランドはかなりの多数を持って残留を選択していますが、人口比で国全体としては離脱となりました。

スコットランドは2014年に独立の住民投票を実施しております。これは55対45で否決され連合王国の一員として残っていますが、当時キャメロン首相は、スコットランドが連合王国から離脱すれば、すなわちEUからの離脱をも意味し、経済的に立ち行かなくなると強く反対しました。ところが今回の国民投票で離脱となったことで、スコットランドでは英国がEUから離脱することについて強い反対意見があります。現在は保守党が議会で圧倒的優勢なので独立住民投票を実施できませんが、2020年8月の世論調査では、スコットランドの住民は53対47で独立すべしと言っています。

また北アイルランドは和平合意が成立していますが、カトリック人口が増えています。もし将来住民投票をすれば、離脱、またアイルランド共和国への合併は排除しきれないと思います。スコットランドと北アイルランドの動向如何では、今我々が知っている連合王国が、構成員の異なる国になる可能性は排除できないと思います。

英国の首相はだいたい10年程務めますが、私が英国にいた3年半で同じ保守党から3人もの首相にお会いしました。保守党には、EU問題や、あるいは欧州に対する見方に対して一致した見解がありませんでした。キャメロン首相は国民投票で敗北を喫し、あとを継いだテレサ・メイは挙党一致内閣で国民投票の結果を実施しようと、有力な政治家を全員内閣の中に取り込みました。のちの首相になるボリス・ジョンソンもその一人です。その結果内閣はEU離脱を巡り混迷し、離脱協定への国会承認も取れずメイは辞任しました。保守党党首になったボリス・ジョンソンは、総選挙を実施し、国民投票から3年が経ってもなおEU離脱を実現できていないことに対し、「Get Brexit Done さっさと離脱しよう」という公約を掲げました。イギリスの国民は決定する政治を好む為、先が見えないことに対して非常に苛立ちを感じており、決定する政治を実現すると約束したジョンソンが大勝しました。

ジョンソンはかつてのメイ政権の苦労をよく見ておりましたので、自分に従う候補、自分に反対しない候補という公認条件を明確に示しました。その結果、有力な政治家が何人も公認されず、党は統一され、議会に持ち込む法案や予算が容易に承認されるという安定した基盤ができたわけであります。

今、英国とEUの交渉は膠着状態であります。予定では来年1月1日に新しい協定が発効し、英国とEUは新しい関係にはいります。しかしながら将来協定の交渉では、EUは政府補助や政府関与に厳しく、EU基準の維持を求めています。それを英国が受け入れると離脱した意味が半分はなくなってしまいます。EU側からすると、英国が国庫補助をどんどん出しながらEUの産業を脅かせば、EU経済は甚大なる打撃を受けかねません。漁業も難航しています。現在は英国海域の漁業はEU管理のもとで行われていますが、英国の200海里の経済水域は、離脱により英国の管轄下に入るため、EU漁船が漁業を行うためには、英国の許可が必要になります。将来協定の中で漁業につき合意しておこうとEUは求めていますが、英国は応じません。12月31日までは将来協定ができるまでの暫定的な期間として、事実上EUとの従来の関係が継続するという合意はありますので、発効するまでの暫定期間を延長することを合意すれば、合意なき離脱という最も恐ろしい結果は避けられるかもしれませんが現時点では延長は合意されておらず今後の見通しは立っていません。

日本からは1000社以上の日系企業が英国で活動しています。大使館は、日本企業が今後も円滑に活動できるように、EUとの合意を成立させるように英国側には繰り返し繰り返し働きかけをしてきました。EUの当局に対しても同様です。

日英間はそれに加えて日英の自由貿易協定を交渉し合意しました。、今後国会承認にかけ、12月31日までに発効させることを考えております。

このような大変な状況の中、コロナがきました。英国の死者数は既に4万2000人で感染者がさらに増える危機的な状況です。

日英はそれぞれが相手にとって重要な国ですので、それぞれを大切にし、日本としては英国情勢に注目しつつ、日英関係を発展させていきたいと考えております。

ご清聴ありがとうございました。

卓話『考えましょう地球環境』令和2年10月12日

国際ロータリー第2750地区 ガバナー 福原 有一様

国際ロータリー第2750地区 ガバナー 福原 有一様

今年度ガバナーを拝命いたしました東京銀座ロータリークラブの福原でございます。今年のはじめから色々な問題がある中で、例会が難しい状況であったことを寂しく感じていましたが、こうしてガバナー訪問をさせていただき、それぞれのクラブで例会を開催していただいたことを大変ありがたく思っています。

新型コロナウイルス
今年の1月にサンディエゴでのロータリー研修会に参加し、成田空港に着きましたら、全員が白いマスクを着用していました。ここは本当に日本なのかと目を疑いました。それから1週間後、ダイアモンドプリンセス号でコロナウイルスが確認され、日本で本格的に流行がはじまりました。そして東京オリンピックの延期、緊急事態宣言。しかし緊急事態宣言が解除された後のシルバーウィークでは、軽井沢や熱海、東名高速が大混乱しました。そして10月からはGOTOキャンペーンがはじまり、さらに拍車がかかりました。一方ヨーロッパでは1日に1万人の感染者が出ています。世界がこのような状態の中で、日本は本当にいいのでしょうか。これが今の日本の現状です。

今年のRI会長ホルガー・クナークさんから、皆様に4つのお話をいただきました。

ホルガー・クナーク

一つ目、地球環境やジェンダーフリーなど、新しいアイデアを基に革新的なクラブをつくってほしい。二つ目、クラブの戦略会議。5年後を見据え、理想的なクラブになるためにはどうしたら良いかを真剣に検討してほしい。三つ目、新会員について。ただ単に増やせばいいということではなく、本当にロータリーのことを理解できる方を新会員として迎えてほしい。四つ目、ポリオ根絶。おかげさまで8月にはアフリカ大陸からポリオ自然株がなくなりました。WHOは世界に向けて、ロータリーが根絶に非常に貢献したということを言っていました。ポリオ根絶を、我々は世界に、子ども達に約束した。それを守るために皆様の協力と支援をいただきたいということ。以上がクナーク会長のお話です。

バリアフリーマインド
バリアフリーマインドとは、様々な障害や心身の特性、考え方を持つすべての人が、平等な立場で、双方の理解を深めるべくコミュニケーションを取り合い、支えあうことではないかと思います。

バリアフリーマインド1

鎌倉にある社会福祉法人鎌倉児童ホームでは、両親の病気や経済的な理由から家庭で生活できない子ども達が18歳まで生活をしています。何度か出向き、食事会等を開催して徐々に親しくなる中で、純粋でかわいい子ども達に気付き、本当のバリアとは建物や施設ではないということ、心の中にあるのではないかと思うようになりました。施す側、施される側も仕切りを取り除き、同じ立場に立って相互で理解しあうことがバリアフリーマインドだと。相手を尊重し尊敬し、そして相手が喜ぶことで自らも嬉しいと思えるような奉仕を心掛けていただければと思います。

バリアフリーマインド2

考えましょう 地球環境
さて、ロータリーの支援する重点分野が1つ追加され7つになりました。「環境の保全」です。

地球環境

7月の熊本集中豪雨、そして北九州豪雨。集中豪雨の原因は、地球温暖化による線状降水帯です。温暖化の一番の原因が温室効果ガス、CO2の増加です。産業革命のあたりから石炭、石油、天然ガスにより地球上にCO2が増えていきました。そして今から4年前、2016年にパリ協定により2020年から各国のCO2排出の枠組みの取り決めをしました。しかし翌年6月、世界の中で一番CO2を排出する国、アメリカのトランプ大統領が脱退を表明し、パリ協定がどうなってしまうのかと不安に感じています。

地球温暖化がもたらす影響は、海面の上昇、マラリア等の熱帯性感染症の拡大、生物の多様性の損失、珊瑚の白化、病害虫増加、食糧難の恐れなどがあります。中でもわたしが一番心配しているのは、シベリアの永久凍土が溶けることです。2016年、熱波がヤマル半島に押し寄せ、75年前に死んで凍土に埋まっていた鹿が出てきました。鹿の中にいた炭疽菌が空中に舞い、男の子が亡くなり、周りにいた人たちも重症を負うという出来事がありました。このようなことが続けば、コロナウイルスどころではなくなってしまうかもしれません。

地球温暖化

これまでは化石燃料から発電をしていましたが、太陽光線や風力、地熱を使った発電にすべきではないかと世界各国が研究をしています。省エネ製品への置き換え、脱炭素社会へということで、企業が努力をしています。みずほ、損保ジャパンなどは、新設の石炭火力発電所の建設資金、また保険は引き受けないと発表しました。我々個人的にはどうでしょうか。7月1日からレジ袋が有料になりました。日本は決して早いわけではなく、ヨーロッパ各国がプラスチック製品禁止の取り組みをしている中で、日本ではプラスチック削減25%しか目標を掲げていないという現状です。日本のプラスチックごみは年間903万t、1人あたり年間71.5kgです。コロナウイルスにより廃棄するごみの量が2割増加したという話もあります。サーマルリサイクル、燃やす時に出た熱を再利用しているそうですが、日本の基準では処理できないごみを年間135万tも輸出しているそうです。日本からプラスチックは消えるかもしれませんが、世界のどこかにプラスチックごみが残っています。昨年5月に輸出規制についてバーゼル条約が合意されました。しかしアメリカがまた不参加で、もう少し世界で足並みをそろえて取り組みたいと考えさせられます。

2030年までに、使い捨てプラスチックを25%削減

アメリカで最近LOOPというシステムができました。LOOPの容器にメーカーの商品を入れて販売し、容器を回収して再利用します。ごみを排出しない、捨てないといった動きになっており、日本の大手メーカーも多数参加しています。近々新聞紙上を賑わすのではないかと思います。

飲料メーカーの取り組み

日本でもユニクロが7800tのプラスチックを削減すると発表しました。日本の近海、また世界の海に広く排出されてしまっているマイクロプラスチックは、フリースからたくさん出るということで、ユニクロやPatagoniaというメーカーは高品質のフリースをつくろうと努力しています。

マイクロプラスチック

わたし達にできる減らし方、リサイクルやリユースをして「リデュース」する。減らすこと、発生を抑制することに観点をあてていきたいと考えております。わたしはリデュースの簡単な方法として、エコバックを作成しました。我々の地区4700名が週3回使用すると、733200枚のレジ袋、プラスチックごみを削減できます。皆様にお届けいたしますので、是非お使いいただきたく思います。

私たちにできる減らし方
エコバック

コロナウイルスの影響により今年度は開催ができなかった国際大会ですが、来年度は台湾で開催されます。またロータリー100周年の記念大会や、ガバナーナイトも開催予定です。是非とも世界のロータリアンと接し、世界の世の中がどのように動いているのかを、肌で感じていただきたいと思います。

ボルガー・クナークROTARY OPENS OPPORTUNITIESロータリーは機会の扉を開く・バリアフリーマインド・同じ視線で・地球環境を考える。難しい世の中ですが、心の中に入れていただき、これからも活動いただきたいと思います

ご清聴ありがとうございました。

卓話『南鳥島レアアース泥開発による日本再興戦略』令和2年10月19日

東京大学大学院工学系研究科 副研究科長・教授 加藤 泰浩様

東京大学大学院工学系研究科 副研究科長・教授 加藤 泰浩様

元素の周期表のうち、第3族に属する17個の元素をレアアースと呼びます。質量数の軽いものを軽レアアース、重いものを重レアアースと呼び、重レアアースが資源としては非常に希少性が高く重要です。ハイブリット車や電気自動車、LED、燃料電池、医療系の機器などに使用され、タミフルやリレンザをつくる際の合成触媒にも使われています。ありとあらゆるものに使われ、まさにハイテク産業の生命線です。現在レアアースは世界の生産量のほとんどを中国が占めており、日本は中国から年間500億円分のレアアース原料を輸入し、様々なハイテク製品を作っており、日本におけるレアアース製品産業は年間5兆円産業となっています。

2010年9月7日、尖閣諸島沖で中国の漁船が海上保安庁の船と衝突、日本が中国の漁船の船長を逮捕し拘留したことで、報復措置としてレアアースの輸出を事実上停止するレアショックと言われる事件が起こり、レアアースの価格の急騰は2年間も続きました。

最も重要な資源であるレアアースには、大きな問題が2つあります。1つは中国にほとんど独占されているということ。昨年中国とアメリカが貿易戦争という形で衝突した時、中国が一番に切ってきた切り札がレアアースでした。レアアースは中国にとって最強の外交カードなのです。2つ目に、レアアースを採掘する際に排出されるトリウムやウラン、放射性元素の廃棄物処分の問題です。中国では深刻な環境問題が引き起こされており、陸上のレアアース資源は環境破壊型資源の典型だと言えます。中国の資源にいつまでも頼ることはできないというのが、私達の考えです。

元々私は理学部出身で地球の環境がどのように変動してきたのかを研究していました。海底の泥を掘れば掘るほど過去の地球環境を知ることができます。海の環境研究の過程でレアアースの濃度が非常に高い泥があることに気付きました。中国で採っているレアアースの濃度は平均400ppm、しかし太平洋のタヒチの東側やハワイの周辺にそれ以上の濃度の泥で存在することを発見したのです。論文を準備している時に尖閣諸島の事件が起こり、レアアースショックがワールドワイドに大きな問題となりました。これは我々にとって最大のチャンスでした。Nature Geoscienceに論文を発表したことにより世界で大きく取り上げられ、中でもAFPは「Ocean floor muddies Chine‘s grip on 21st-century gold 21世紀の金と言われるレアアースを独占している中国に、海底が泥を塗る」我々の発見がまさに中国の独占を突き崩すに違いないと期待感を込めて報道してくれました。

私達が見つけた泥には5つの大きな特長があります。1つ目は、レアアースの含有量が高いだけでなく、希少性の高い重レアアースの割合が、中国25%に対し、50%と高いことです。軽レアアースも50%と、すべてのレアアースを含んで、バランスが極めて良いのです。2つ目は、泥は地層として広い範囲に堆積しているので資源量が膨大で、陸上の資源量の優に1000倍はあります。3つ目、広い海域でどのくらい資源量があるかを決める時に、一発で資源量が分かります。これほど簡単に資源の探査ができるものは他にありません。4つ目、これが最も重要です。陸上のレアアースの資源は、トリウムやウラン、放射性元素が多いことに苦しんでいますが、この泥はほとんどこれらを含んでおらず、クリーンな資源だということが最大の特長です。5つ目、泥が非常にきめ細かく、薄い酸に短時間、室温でつけておくだけで、レアアースの97%を抽出することができます。このように4拍子も5拍子も揃った夢の資源と言われていますが、一つだけ欠点があります。それは水深が4000mを超える深い海にしかないということです。

私達は2011年にタヒチやハワイの周辺海域にレアアース資源がたくさんあると発表しましたが、その裏で、日本の南鳥島周辺にもあることを既に把握していました。経産省に密かに伝え、誰にも気付かれないようにやろうと思っていましたが、当時の経産省の担当はベトナムの鉱床の資源開発に躍起になっており、経産省としては後ろ向きでやる気がありませんでした。私は経産省のやる気を見極めようと1年待ちましたが大きな動きはなく、次の年にNHK独占で報道していただきました。

NHKの報道に合わせて2週間後に私は「太平洋のレアアース泥が日本を救う」という本を出版しました。その本に、南鳥島のことを書いたのです。南鳥島の周辺海域の開発には東京都の理解が必要です。2012年10月19日に都庁で石原さん、猪瀬さんとお会いしました。国がやらないなら東京都がやると言っていただきましたが、その6日後に辞任会見をされ、後任の猪瀬さんも退職をされてしまったので、東京都との話は進みませんでした。しかし色々なことをオープンにして様々な形で取り上げていただくことで、国もようやく動き出すようになってきました。2013年1月21日から11日間、海洋研究開発機構と共同で調査をすることができ、南鳥島の南250kmの排他的経済水域に、タヒチやハワイ沖の7倍以上、世界最高濃度のレアアース泥を見つけることができました。比較的海底面に近い所にあり、資源開発がしやすく、尚且つレアアースを超高濃度に含む粒径の大きな魚の歯や骨のかけらが大量に含まれる層も見つかりました。2018年にはレアアース資源がどのように分布しているかをマッピングし、10km×10kmという海域で日本の年間需要量の50年から800年分、そして現在世界でたった15tしか採れないスカンジウムという希少で高価な資源についても15tの2400倍という膨大な量があることも分かりました。また、ハイドロサイクロンにより魚の歯や骨のかけらだけを選り分けることで品位を劇的に上げ、経済的な資源開発をすることを狙っています。

私達は東京大学に、レアアース泥開発推進コンソーシアムをつくっております。トヨタをはじめとする日本を代表する34の企業に参加していただき、さらに今年、山本社長のAOIホールディングスにも加わっていただき、採掘からモノ作りまで、一連のサプライチェーンを構築することを目指しています。

残念ながら、今レアアース泥に最も熱心な国は日本ではありません。中国は私達が見つけた海域の南側の公海上に鉱区をとり、日本に先んじて資源開発をしようとしています。アメリカもクック諸島沖で計画しています。どの国が最初に資源開発を成功させるかが重要なポイントです。我々は中国に先を越されないように、なんとしてもレアアース泥の資源開発をやり遂げたいと考えています。

レアアースショックで日本の企業は、補正予算を含め4000億円の実害を被りました。国産の資源を持っていれば経済損失をなくすことができ、事業コストはすべて国内経済に還元できるので、これほどいいものはありません。

また、泥を採ることができればすぐに物を作ることができると示すため、南鳥島のレアアース泥からLEDをつくりました。年間5兆円産業から、レアアースの新規産業創出で年間10兆円産業を目指しています。次世代、我々の子ども達が豊かに暮らしていくために、なんとしても成し遂げたいと考えております。

2018年には日経地球環境技術賞の最優秀賞を受賞しました。クリーンな資源開発を目指している、革新的なシステムを構築するということが高く評価され、未来を考えた時にこういったクリーンな資源開発をやるべきだというお墨付きをいただきました。そして安倍政権、菅政権をはじめ、様々な方々に協力をいただき、またメディアに出させていただくことでアピールをしながら皆様に応援していただいております。

このままでは必ず中国に負けます。そうならないためにどうすれば良いかということを発信し続けていきたい。是非皆様ご協力と応援をしていただきたいと思っております。

ありがとうございました。

卓話『米中デカップリング時代の経済展望と投資戦略』令和2年10月26日

UBSウェルスマネジメント 日本地域最高投資責任者 青木 大樹様

UBSウェルスマネジメント 日本地域最高投資責任者 青木 大樹様

UBSウェルス・マネジメントの日本の投資責任者をしております青木大樹と申します。

本日は大統領選挙後、コロナ後、米中時代のデカップリングが大きなテーマです。これからの経済やマーケット、ビジネスを見るうえでの参考になればと思います。

アメリカの大統領選挙まで10日を切りました。ベッティングサイトでは、バイデン氏の勝利確率が65%、トランプ氏が35%となっていますが、トランプ氏の支持率はそれほど下がっていません。歴代の支持率を見ると、40%を切っていた方は再選されていませんが、トランプ氏の支持率44%、微妙な数字といえます。各州の支持率僅差の中でどこまでひっくり返せるかが注目ポイントです。

どちらが当選しても、経済やマーケットの観点から意識するのは、アメリカの経済状況です。シンクタンクの見通しでは、今後10年間の財政赤字はトランプ案では-4.95、約5兆ドル財政赤字が増えるとしています。バイデン案であっても-5.6兆ドル。目先の財政再生支出が増えていく中で、どちらが勝ったとしても、選挙によってアメリカの景気が後退するといったものではないだろうと見られています。

バイデン氏が勝った場合、アメリカ経済は短期的には若干ポジティブになると考えられます。トランプ氏が中国にかけた関税を無くそうとしていますから、人民元が上がりドルが少し下がっていく傾向にある中で、アジアや日本の企業も恩恵を受ける部分があると思います。トランプ氏が勝った場合、やはり中国に対して厳しくしていく形になってしまうので、アジア通貨よりもドルにお金が流れやすい。シナリオによって為替の動きはありますが、重要な点は今世界経済で何か起きているのか、本質を見極めてビジネスや投資を考えることと考えています。

さてコロナウイルスについてですが、こうして皆様の顔を見ながら話をするのは本当に久しぶりですが、世界ではまだまだ予断を許さない状況です。もちろんしっかりと対策をしておくことは大切ですが、過度に恐れてしまうとどうしても経済を冷やしてしまう部分があるので、バランスをとらなければなりません。ビジネスへの影響の観点で注目しているのは人々の移動指数の推移です。人々の活動が止まってしまうと経済は大きく凹んでしまいます。1月2月と比べるとアメリカでは移動指数が4,5月ごろにマイナス50%まで下がり、現在は改善して8割ぐらいで止まっています。日本や欧州は9割程度まで戻ってきています。人々の移動がある程度まで回復していますが、元に戻るには相当時間がかかる状況であると思います。これからもコロナによって人々の動きや経済がどうなるのか、詳しくリサーチする必要があると考えています。

では、これからの世界の経済社会をどう見ていくべきなのでしょうか。高齢化と技術の構造は経済の大きな要素です。日本の生産年齢人口のピークは1992年でした。重要なのは2015年あたりで、中国やアジア、欧州など世界中で日本の1992年のような状況になってきました。人口自体は拡大しますが、世界中で若い人の比率が減り始める時代にに入ってきています。

技術面でお話をすると、航空機や自動車などは50年以上という長い時間をかけて5000万人ユーザーへと拡げていきました。しかし携帯電話は12年、Facebookは3年と、イノベーションのスピードがとても速く、また航空機や自動車に比べて裾野が狭いため、一部のセクターでたくさんの顧客を囲う形にとなり、格差が生まれやすくなりました。

現在、こういった人口構造の変化や技術による格差拡大から、政治的にも混乱し始めている部分があると考えます。各国がコロナ対策として拡大している財政支出でイノベーションが生まれれば良いですが、財政拡大は一時的にはGDPを押し上げても、使い続けなければお金は回っていきません。日本の場合、財政を出した一回転目は効果があっても、その後企業の貯蓄となって、結局経済は成長していかないという結果になっています。世界の人口や技術構造が変化してく中でも持続的に成長をするためには、何が必要なのか、しっかり考えていくことが重要です。

もう1つ、世界経済には大きな課題があります。米中間の技術の対立は今後どのように考えていくべきなのでしょうか。アメリカでは大統領が誰になっても、技術対立は根本的に解決できる問題ではないでしょう。対立が続くことで競争が阻害されれば新しい技術が出てきにくい状況にもなってきます。技術対立は、アメリカの技術を使う国もあれば中国の技術を使う国も出てくることで、競争を阻害します。今まではアジアでハイテク企業が儲かれば中国企業もアメリカ企業も儲かっていました。そのようなwin-winの関係をつくることで、中国はかつて日本がアメリカに対して経験した貿易摩擦を回避しようとしてきました。しかしトランプ氏が中国との関係を断ち切るという方針を示したことで、中国は自国の技術・製品を囲い込みにきていますから、米中間の技術のデカップリングが今後深刻化すると思います。

中国はアメリカの技術が使えないのであれば、自分達で賄っていくやり方にシフトして、企業に対して補助金をたくさん出しているのに対し、日本はそこに入り込めていないという状況があります。我が問題視していることは、今までは中国が成長すれば日本にも収益がありましたが、ロボット産業や建築機械などでは中国の需要が拡大しても、日本企業の収益につながっていないというデカップリングが少しずつ見えてきていることです。日本としてはアジアの成長に対して協力し、自由貿易をしていくことが大切だと考えています。

もう1つ米中間の対立は通貨も関係しています。中国も高齢化が進んでいますので、モノをつくるよりは買うことが多く、貿易収支は徐々に減っていくでしょう。技術が成熟化すると、売って稼ぐよりも払う立場となり、人民元が流出しかねません。このリスクに備えるためには、中国にとっては人民元を広く使えるような経済圏をつくっていかなくてはなりません。ドルは基軸通貨と呼ばれます。アメリカはこれまで世界の消費の中心でかり、技術大国でもあったことが、ドルの信認を支えています。特に技術を持っていることは大切で、経常収支が赤字になっても通貨を安定的に保っていくことで、経済の発展に繋げることができます。中国は経済成熟化してくる中で、技術を他国に頼ることなく、同時に人民元を国際化していくことが、今後の発展には必要なのです。したがって、米中間の対立はある意味避けられなかったことかもしれません。中国の方向性がはっきりしている以上、技術と通貨の対立は相当程度長引くと考えられ、そして自由貿易を推進していた時代とはまた違ったデカップリングの時代がこの先くるのだろうと思います。

最後の財政のリスクに目を向けますと、コロナ対策のため今年だけで世界の財政支出はGDPの5%と、リーマンショックの際の支出を大きく超える規模です。中央政府の負債残高は来年も増えていくでしょう。これが将来どのようなリスクをもたらすのか。日本は国全体の純資産と純負債を見たときに、政府が赤字を出してもそれ以上に貯蓄があります。財政赤字を出した以上に海外で利益を生み出す力があり、稼ぐ力があるからこそ日本の国債は問題にはなっていません。問題は、グローバルの中で高齢化が進み、技術では稼げないような時代になっていく中で、今ある日本の稼ぐ力が継続していけるかどうか、また、中国が経済圏を拡大すべくアジアに進出してくる中でどこまで日本の競争力を維持・拡大できるかです。日本の稼ぐ力が失われれば、財政赤字に対する信認が崩れるリスクがあります。悪い円安のリスクです。こうならないためにも、日本が変革する世界経済の中で成長していく戦略を考えていかなくてはならないと思います。

全体をまとめますと、アメリカの大統領選挙やコロナウイルスが何かと話題となりますが、経済にとって重要な点は世界の構造が人口や技術の観点から大きく変わっていることです。以前のように貿易で世界経済が成長していける時代ではなくなってきています。これは同時に中国にとっては、安定して成長していくために外国に技術を頼らず、また人民元の国際化を進めることが重要となります。しかし、それは必然的に米国との対立となりました。米中間のデカップリングや財政拡大は長期化していくでしょう。ビジネスや投資の観点ではこのような新しい時代に備えた戦略が求められるようになっています。

ご清聴ありがとうございました。



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