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国際ロータリー第2750地区 東京六本木ロータリー・クラブ The Rotary Club of Tokyo Roppongi

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卓話

2017年1月

卓話『プロ野球ビジネスについて』平成29年1月30日

井上 智治様

㈱楽天野球団 取締役オーナー代行 井上 智治様

私は三木谷さんが楽天を作る以前からアドバイザーをさせていただいています。プロ野球ビジネスも私が楽天さんに話を持ちかけてスタートしました。既存の野球ビジネスとは違った視点で始め、それなりの実績を上げることができたと思っています。

スポーツビジネスで最近ファンが驚いたのがJリーグの放映権料です。2016年まで年間の放映権料がスカイパーフェクTVで30億円でしたが、2017年から10年契約で2100億の契約が成立しました。年度換算では210億です。イギリスのインターネット放送事業者が地上波を除くすべての権利を買いました。プロスポーツビジネスは世界的にみると成長産業です。欧米と日本での主だったプロスポーツの売上げを野球を例に見ると、日本のNPBの1428億に対してMLBが9861億で、市場規模は6~7倍と大きく開いています。米国全体で見ると主だったプロスポーツだけで3兆3千億の売上げがあります。日本は2000億で、人口は2.5倍の差しかないのに格段の差です。実は1995年、NPBもMLBも市場規模は同じ1200億でした。しかしアメリカは毎年成長を遂げ、こんなに差がついた。アメリカで今一番売上が大きいのは1.3兆円のアメリカンフットボールで、競い合うプロスポーツ業界があるからこそ切磋琢磨するということもありますが、もう一つ、プロスポーツがリーグビジネスだということを理解して進めるかということが日米の差を生んでいます。

プロスポーツのリーグの形としてはアメリカ型のクローズド・リーグとヨーロッパ型のオープン・リーグがあります。アメリカ型は1部リーグの数が固定で日本のNPBも同じです。ヨーロッパ型は日本のJリーグと同じで成績が悪いと下部のリーグに落ちていきます。収入という視点では、アメリカはリーグが全国放映権とか様々な権利を持って収益を上げ、それを各チームに分配する形になっているのに対し、日本はチームが独自に稼ぐことで運営されています。ヨーロッパ型も基本的にはチームによる収入が主体です。アメリカはどのプロリーグもリーグによる収入を重視しています。戦力均衡と人件費という点では、アメリカ型は各チームの戦力が均衡するように人件費に制限を設けたり、ドラフト制度でも前年の最下位のチームから選手を選べるようにして能力が均衡するような制度設計をしています。

楽天がプロ野球に進出した頃、従来のパリーグ球団は、なべて1球団あたり年間40~50億の赤字でした。私たちは進出に際してプロ野球ビジネスを調査し、赤字幅を20億まで下げられると考えました。そのコンセプトは球団と球場の一体運営です。球団はあまり儲からないけど球場は儲かる。例えば東京ドームは年間100億を超える看板利用収入がありますが、看板は東京ドームという会社が設置していて巨人軍にはお金が入らない。楽天は球場に関わる収入を得るため、球場球団一体型モデルを実行しました。

プロスポーツビジネスでは、それぞれの収益構造、ビジネス構造を見て、その中で議論する必要があります。

ありがとうございました。

卓話『トランプ革命で甦る日本』平成29年1月23日

ケント・ギルバート様

㈱NR2 代表取締役 ケントギルバート様

私は1年ぐらい前に、NHKの日曜討論で、「トランプは大統領どころか共和党の候補にもならない」と言ったことがあります。でも去年5月、アメリカに行ったときに、トランプに対する皆さんの期待を実感しました。また、ヒラリー候補を応援するメディアの偏向報道ぶりもイヤと言うほど体験して、選挙戦の争点は日本で報道しているような問題ではないことがよく分かりました。私の長男はトランプの熱狂的なファンになっていて、彼の集会のビデオを送ってきたりしたので、私の考えも段々変わりました。ひょっとするとこの人はいいかもしれない。なぜかというと、多くのアメリカ人が彼を望んでいるし、日本にもいい影響を与えることが分かったからです。トランプは、日本はもっと防衛費を出しなさいというんですね。日米安保条約では日本が攻撃されたらアメリカが守るけど、アメリカが攻撃されても日本はアメリカを守らなくていい。それは不公平だと。だったらせめて防衛費を全部出しなさいよというわけです。そこで皆さん勘違いするんですよ。防衛費を出せと言葉では言うけど、その本当の意味は違うんですね。例えばメキシコとの間に壁を作ると言っているけど、本物の壁を作ると思っている人はそんなに多くないと思います。彼が言ってるのは、国境の警備体制を強化して移民問題を解決するという意味なんです。だけど従来の政治家のように「国境警備を強化します」って言ったって、誰も心を打たれないでしょ? でも、“Build the Wall!”だと、「そうだ~!」ってなっちゃうんですよ。これがうまいんですね。

なんで皆がトランプに投票したかというと、腐敗しきった政治を正してくれるという期待です。トランプが当選した理由よりも、何でヒラリーが負けたかを話しましょう。実はヒラリーという候補は、早々とメディアが選んだ人なんです。政策云々よりも、彼女であれば共和党に勝てると考えた。バーニー・サンダーズは社会主義者だから本選挙では勝てないというので、民主党とメディアが共謀して候補になれないようにした。私たちは以前からそう言ってましたけど証拠がなかった。それが選挙の2週間前にウィキリークスから情報が出ました。例えばディベートの質問は事前にヒラリーにリークするとかね。ウィキリークスが彼女の腐敗ぶりを国民に示してくれた。面白いことにその情報自体が間違っているとは誰も言わない。事実であると民主党も認めている。それがバレたことを悔しがっているだけでした。だからこれはメディアの失敗です。メディアが彼女の当選を勝手に決めてるから、彼女の悪いところを全然取材していない。メディアの怠慢ぶりが明らかになりました。

NBCの出口調査で有権者がトランプの何を重視したかをみると、経験だけでなく判断力でもヒラリーに負けているのに、「変革をもたらす」という点で逆に大きく差をつけています。要するに経験も判断力もないけど、やってくれるから彼に入れたという話です。なんでそうなるかというと、東海岸と西海岸をメインにしている偏向メディアにアメリカ国民はうんざりしているんです。頭でっかちの、上から目線の、リベラルの思想を押しつけてきた体制がもう限界に来てるんです。

トランプは、日本がアメリカ依存から自立できる大きなチャンスを作ってくれたんじゃないかと思います。

ありがとうございました。



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