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国際ロータリー第2750地区 東京六本木ロータリー・クラブ The Rotary Club of Tokyo Roppongi

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卓話

2019年11月

卓話『東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会と日本の未来』令和元年11月18日

公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 事務総長 武藤 敏郎様

公益財団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
事務総長 武藤 敏郎様

来年の7月24日から17日間、東京オリンピックが開催されます。選手が11000人、パラリンピックは8月25日から13日間、参加する選手の数はオリンピックより少ないですが、同じ競技でも障害の程度によって分かれているため、種目数はパラリンピックのほうが多いです。

組織委員会は2014年に44人で発足いたしましたが、まもなく8000人になります。そのうち約半分は競技会場で業務を行います。ボランティアは11万人です。

リオでは28だった競技に、野球・ソフトボール、空手、サーフィン、スケートボード、スポーツクライミングをプラスし、東京2020は史上最も多い競技数で開催されます。

スケートボードやスポーツクライミングは、組織委員会が東京大会で採用しようとした時にはあまり有名なスポーツではなかったと思います。ところがあれから4年が経過し、日本の若者が世界大会でメダルを取るような競技になりました。これがスポーツの素晴らしいところで、目標を設定すると、実際にそのようなことが起こるということかと思います。最近では若者のスポーツ離れが世界的な現状のようですが、スケートボードやスポーツクライミングが若者の間で非常に人気となり、テレビでも放映されるようになりました。東京オリンピックの競技に決定したことにより、若者がチャレンジするというように様変わりをしたと思います。

競技が決まると、次は競技会場を決めます。猪瀬知事が招致に立候補した時は「コンパクトオリンピック」といって、選手村8km圏内でほとんどの競技ができるようにしたいと打ち出しました。しかし組織委員会を立ち上げてみると、8km圏内に競技場をたくさん作るということは、将来の運営等を考えても大変無駄ではないかということが見えてきました。そこで、既存の施設を活用することで費用を節約することになりました。その結果、千葉の幕張でテコンドーやレスリング、埼玉でバスケットボールやゴルフ、神奈川や静岡でも行うということで、東京大会とはいうものの、40%の会場が東京以外で開催されています。北海道で開催が決定したマラソンを入れると40数%という実態です。

晴海の選手村は外観もほぼ出来上がっており、12月に完成します。新国立競技場は今月完成予定で、12月15日に竣工式が行われます。またアクアティクスセンター、水泳の会場が来年の2月に完成すると、すべての会場が完成します。このペースは非常に速く、これまでの大会では開会式の直前まで建設していたこともあったと報道されていましたが、バッハ会長からは「東京の準備状況はオリンピックのレコードだ」と言っていただきました。

競技会場が決まると、そこで行われる競技のスケジュールが問題になります。スケジュールは、柔道とレスリングなど、似たような競技を重ねないようにするということが大会期間を通じて盛り上げを続ける観点から重要です。またヨーロッパ時間、アメリカ時間でどの競技が行われるかも重要です。すべてを日本のゴールデンタイムにしてしまうとアメリカでは早朝に見ることになります。こうした点から放送権者の意見も受け入れながら、体操や柔道など日本にとって重要な競技は日本のゴールデンタイムに決勝を行えるようにうまく調整をしています。また平日に路上競技を行うと通勤通学や輸送上の問題が生じますので、8月1日2日、8日9日の土日に行うように心がけています。

競技が決まり、日程が決まると、チケット販売が可能になります。5月に第一次抽選販売を行ったところ、322万枚が売れましたが、アクセス件数2425万件と大変な人気になりました。その後追加抽選販売を行い、現在は第二次抽選販売を行っています。第一次では申込みに8時間待ちということが起こりましたが、現在はそのようなことはなく、また来年春からは街中のチケット販売所で販売する予定です。

チケットの最高金額は、オリンピック開会式が30万円、パラリンピック開会式が15万円です。パラリンピックの一般競技では900円から値段設定をしています。オリンピックの競技チケットの平均単価は8千円程度となっています。チケットポリシーとして、家族4人で観に行こうと思っても20万30万かかるというのでは、オリンピックが縁遠いものになってしまいます。全体としては、数万円の範囲内で家族で観られるような値段設定になっています。

聖火リレーは、3月12日に古代ギリシャのオリンピックが行われた、オリンポス山の麓のオリンピアで太陽光から採火をいただき、3月20日に宮城県の自衛隊松島基地に到着します。「復興の火」ということで被災三県を6日間で周り、3月26日に福島県のナショナルトレーニングセンターJヴィレッジをグランドスタートとして始まります。全体で121日、福島から南下をし、沖縄には5月2日から3日に到着、そこから北上して北海道にまいりまして、東京に入るのが7月10日です。ランナーは約1万人、各県、スポンサー、組織委員会が推薦するランナーで構成されます。聖火リレーのトーチは、吉岡徳仁さんがデザインされた、桜の花びらを模したトーチです。

本日の主題になります、大会運営をどのように準備しているのかということですが、組織委員会にはFAというそれぞれ52のミッションを持った部門があります。そのうちの大きなところをご紹介します。

輸送は選手村から競技会場に選手を運ぶことがメインですが、ただ運ぶだけではなく、オンタイムで運ばなくてはなりません。その中でも平日の輸送は非常に神経を使うところで、専用バス2000台、乗用車3500台で輸送することになります。プロの運転手の他にボランティアの運転手にもお願いをすることになります。交通需要の調整も重要で、輸送業者の方への協力要請や、交通規制、ロードプライシングという高速料金の日中の値上げができるような手続を進めています。大会期間中の昼間の料金を値上げし、夜間の料金を半減するといった組み合わせにより交通費の調整を行うものです。

警備も大きな課題で、民間の警備員を14000人集めます。そして、オリンピックで初めて、顔認証システムを導入します。ボランティアと組織委員会、コントラクターという委託先の企業の方々、IOC、IFなども含め、大会関係者約30万人は顔認証で出入りすることになり、これも画期的なことです。

医療はすべての会場に医務室を置き、そこで簡単な治療を行うようにします。またすべての会場で救急車をスタンバイさせ、重篤な人が出た場合には、周辺の病院や空きベッドを用意していただくような指定病院に搬送できるように考えています。

天候対策、暑さ対策ですが、実は暑さばかりではなく、台風も心配です。競技ができなくなるばかりでなく、公共交通機関も動かなくなりますので、選手は輸送できても観客がいないということも考えられます。無観客試合をするかの判断に迫られる可能性もあります。それから何と言っても暑さです。マラソンや競歩は非常にハードなスポーツなので、夏でなくてもゴールすると倒れこむような状態です。9月にドーハで行われた世界陸上女子マラソンで、夜中の0時前後にスタートしたにも関わらず、選手の4割はゴールすることができませんでした。ゴールした6割の選手のうちの半分くらいは、その後病院に搬送されたということです。東京オリンピックでも朝6時からのスタートを検討していましたが、IOCより、マラソンと競歩は、オリンピック開催の経験があり、北海道マラソンを毎年開催している札幌に移すべきだというお話がありました。会場の決定権はIOCにありますが、現実は東京側が決めて、組織委員会がIOCに申し立て、IOCの理事会で承認されるという形です。しかし今回は、仮にドーハのようなことが東京で起こったら、東京オリンピックは失敗として記憶されるだろう。色々な意見があるだろうけれども、IOCとして決める、ということでした。しかし場所の選定にしろ日程にしろ、単純に、知事としては分かったという訳にはいきません。これは当然だと思います。ただ我々も考えざるを得ないのは、ドーハと同じような状況になってしまえば、一体誰の責任になるのかということです。最終的にIOCが承認するものである以上、私どもはIOCの言うことを聞かざるを得ないだろうと判断をしました。

マラソン開催地の札幌では同じ時期にビールフェスティバルが開催されます。100万人以上の人出があるということで、コース等の調整すべきことがたくさん出てきました。我々は、ここまでくると巡航速度に入ったと思っていましたが、大変な難題が持ち上がり、今苦労しているところですが、来月のはじめにはIOCと最終的な決定をしたいと思っています。

宿泊は45000室を東京で確保していますが、苦労しているのは札幌です。マラソンを札幌でというと1種目と思われるかもしれませんが、今回新たに札幌で行うことになったのは、マラソン男女、競歩20km男女、男子50km競歩と5種目あります。5日にわたって行われますが、1週間前に行って練習をし、終わって帰ると考えると、各種目の選手が重なってしまいます。さらにコーチなどの関係者を入れると、相当な数の宿泊先の確保が必要になります。しかし来年の夏は旅行会社が既に押さえてしまっていますので、これから交渉が必要になります。

飲食については、朝30分から1時間の間に選手全員1万食以上を提供しなければいけません。国際的に事業を展開するフードサービス会社にお願いをするしかありませんが、カロリー計算やイスラム教など宗教への対応を満たしているか、ベジタリアンにも対応しているかなど、きっちりと準備をする作業が必要になります。

以上があと8ヶ月を切るなか、大会にむけてまだまだ準備に苦労しているところでございます。

ご清聴ありがとうございました。

卓話『米国中国北朝鮮とどう向き合う』令和元年11月25日

日米協会会長 中曽根平和研究所理事長 藤崎 一郎様

日米協会会長 中曽根平和研究所理事長 藤崎 一郎様

本日は、物事をいかに単純化して捉えることが大事かというお話をさせていただきます。

国際情勢は深い森です。国として色々な木があり、その中には安全保障や経済などの色々な枝があります。その一つ一つにとらわれれると森の姿が見えなくなります。まず国の歴史と心理を見てから歩き出すことです。外務省の先輩に「とにかく30年の歴史をしっかり勉強することが大事」と言われました。商売で取引をするからといって、マクロ経済学やミクロ経済学の教科書を紐解く人は誰もいません。取引をする時に、前に取引をしたときに誠実であったか考えるでしょう。それが歴史です。相手が取引を急いでいるか、どんな立場か考えるのが心理です。

北朝鮮の歴史は1992年に朝鮮半島非核化、南北共同宣言、94年には米朝で枠組み合意して安心させましたが2005年に核兵器保有宣言、そして同じ2005年の第4回六者合意ですべての計画を放棄しました。しかし2006年から6回も核実験を行っています。その後2018年に米朝シンガポール首脳会談で核開発をやらないという約束をしました。これまでのやり取りを見て、信じられますか?専門家はつい細かく読み解いてしまいますが、歴史の経過を大きく捉えることが大事です。

次に北朝鮮の心理を見てみましょう。人口は2400万人です。真ん中にすべての権力、軍事力、金力を持った金正恩がいます。そのまわりに少しだけエリートがいます。そして膨大なる数の、飢えるか死ぬかの人たちがいます。経済で自由化が行われるか、安全保障の面で核兵器が本当に廃絶されるか。金正恩の立場に立ってみたら、自由化をすれば情報が入ってきて、70年間親子3代に亘って国民を騙し続けてきたことがばれてしまいます。それで持つだろうかと考えますよね。強大な中国、強大な韓国が隣にいるのに自由化が本当にできるでしょうか。安全保障の観点で考えると、核ミサイルを放棄すれば、制裁は緩めてもらえるでしょう。しかしもうアメリカは相手にしていませんし、場合によっては韓国や中国が攻めてくるかもしれませんが、対抗する力はありません。リビアのカダフィは西側に協力しましたが見捨てられました。戦争は、ただちに反撃されて自分がおしまいです。現状維持とすれば少しずつ核兵器やミサイルは増やすことができるけれど、ジリ貧ですね。皆さんが金正恩だったらどうするか考えるのが心理です。手を挙げて頂くとほとんどの人が現状維持ですね。ハノイ会談やシンガポール会談の時に多くの評論家は、前に進むと思うと言いましたが、皆さんの方があたります。細かく見すぎる必要はありません。

中国の歴史は3千年5千年と言われますが、大事なのは中国の30年、鄧小平以降の歴史です。鄧小平はソ連の失敗を見て、共産党の一党独裁維持と市場経済の導入という中国型社会主義を導入しました。共産主義は乏しきを分かち合うこと、市場経済は弱肉強食、能力主義です。この2つを結びつけるために、鄧小平は先富論を打ち出しました。先に富む者があってもいいじゃないか、それを認めよう。富んできたら税金をかけて皆に分け与える。そうしない限り、社会全体が貧しいままでは発展しないという議論です。そして韜光養晦、力を蓄えて、能ある鷹は爪を隠すということです。

次に中国の心理を見ていきます。「もしもしかめよ、かめさんよ」の歌の中ではうさぎが寝てしまい、かめが追いつきます。しかし実際の世界ではうさぎさんは寝ません。途中で鹿さんと競争を始めます。そのうち鳥さんと競争を始めます。かめさんのことなんか考えていません。これが今の共産党の幹部です。中国は14億人国民がいて、共産党員が9000万人、下にいるたくさんのかめさんが不満を持たないはずがありません。ここで中国ウォッチャーは、経済成長が6%以上あれば不満は吸収できるなどと分析しますがそれは間違いで、自分と同じ条件なのになぜあいつがいいものを着ているんだ、いい家に住んでいるんだという嫉妬があります。かめさん達の嫉妬が共産党一党独裁を崩さないようにするかが習近平の課題でした。共産党幹部の中の腐敗した人を叩くことでかめさんである民衆は満足します。そして共産党一党独裁を揺らがせようとする人を許さず、少数民族の跳ね上がりも許しません。中国ウォッチャーは香港の今の事態について、中国の人は非常にクールに見ていると言いますが、それは違います。香港が自由にすることが許されるならば、俺たちもという風にでてきます。それを抑えるのが一番大事だということです。いざとなれば強硬手段に出てくるということを頭の片隅に入れておくことが大事です。中国は内ではしかり締め付け、外ではナショナリズムの公表をします。中国は昔の屈辱から大国を作りたい、やっとそこに近づいてきたと分析する人が多いですが、実際は共産党一党独裁下で優遇されている幹部達が、国内の不満を吸収するためにスローガンを掲げているのだと読まなくてはいけません。静かにしていようという韜光養晦を捨てて、目覚まし時計を自ら鳴らしてくれたのはなぜでしょうか。それは他の国の為ではなく、国内を抑えるためには鳴らさざるを得なかったということです。

アメリカの大統領選挙について簡単にお話いたします。トランプ大統領の支持率は歴史的な低さです。ほぼ常に不支持が上回っている大横領は初めてです。トランプ大統領が変わってもアメリカはもう変わらないという評論家がいますが、トップが変わると政策は全く変わります。今後も変わらない保証は全くないということを頭の片隅に入れておくことです。

日韓について触れますと、日韓も歴史と心理で読み解く関係です。これは30年では足りませんが、良いことと悪いことが繰り返し続いています。これをパターンとして、今後何が起こるかを大きく捉えることが大事です。

細かい専門的議論に惑わされず大きく掴むというアプローチが大切だということを、ご参考にしていただきたいと思います。

ありがとうございました。



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