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国際ロータリー第2750地区 東京六本木ロータリー・クラブ The Rotary Club of Tokyo Roppongi

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卓話

2021年2月

卓話『日本は大丈夫か?-コロナで浮き彫りになった課題-』令和3年2月1日

鳥居 正男会員

鳥居 正男会員

小篠さんに昨年末に「コロナワクチンのことを話して欲しい」とのご依頼を受けました。コロナ感染で顕在化した日本の課題についてもお話したく、題は週刊誌みたいですが、「コロナで浮き彫りになった課題、日本は大丈夫か?」とさせていただきました。

私は日本は世界の変化から取り残されてしまうのではないかと心配しております。医薬品の先進医療薬の開発でも世界から後れをとっています。化学合成からバイオへの世界の流れの変化に乗り遅れ、コロナワクチンの開発でも後塵を拝しています。

日本の新型コロナの感染者数と死者の数は海外と比べると低く収まっていますが、海外では不思議がられています。強制力のない緊急事態制限や政府の場当たり的な対応、スピードの欠如にもかかわらず、なぜ海外のように爆発しなかったのか。高い衛生意識、生活習慣、国民性、医療体制、基礎疾患(心臓病、肥満)の人口比が低いことなどが理由なのではと考えられます。

ワクチンは健康人に接種するので安全性の確認が大事で長期間にわたる開発期間が必要です。コロナワクチンの開発は今までとは全く違う事ばかりです。現在世界では約280のコロナワクチンが研究されていて臨床試験に入っているのは60くらいと報告されています。ファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3社のワクチンが高い効果を示し、すでに海外では接種が始まっています。今回は各国政府が前のめりで、5年から10年かかる開発期間が何と一年未満で製品化されました。通常は効果、安全性が確認されて製品化のめどが立ったあとに生産体制の準備に入るのですが、今回はすべてへ並行して進んでいます。ファイザーとモデルナのワクチンは人工的に作ったメッセンジャーRNA(mRNA)と呼ばれる遺伝物質を投与するという全く新しい技術を使っています。実用化は初めてで、短期間で大量に生産できる反面、壊れやすいので特殊な保存条件が必要です。95%という驚異的な有効率ですが免疫期間も含めてまだわからないことも多いようです。ちなみにインフルエンザワクチンの有効率は50%くらいと言われています。

世界中の数十億人分の量を準備し、いかに届けるかという輸送と保管も大きな課題です。報道によると、アメリカでは昨年12月に投与が開始され、年内2000万人の目標に対し実際の接種は1000万人に留まったようです。初めての経験故、生産が予定通り行かないのはあり得ることだと思いますが、イタリア政府が供給量が約束の29%下回るのでファイザーを訴えるとか、EUがアストラゼネカを自国のイギリスを優先しているので訴えるなど政治問題化しています。

ワクチン投与でもう一つの問題は、接種を希望しない人がどれほどいるかという点です。日本の調査でも3割くらいの人は状況を見極めてから、と回答しています。もう一つ日本特有の問題は、副作用への過剰な反応があります。ファイザーのワクチンはアメリカでの接種開始の最初の一週間のデータによると189 万人のうち副反応が起きたのは29人だけでほとんどは回復したと言われています。日本ではメディアが不安を煽ることが心配されます。

海外でワクチンの取り合いになっていますので、国産ワクチンの開発が望まれるところですが、コロナワクチンの開発でも残念ながら日本は遅れています。現在2社の治験が始まったばかりです。

イスラエルではすでに人口の3割超が接種済みで、2月中には成人の8割の接種を目指しているとのことです。個人健康データが電子化されているので接種がスピーディに進み、ワクチンの確保もネタニエフ首相がファイザーのCEOと17回話したとの報道があります。2回受けた人はグリーンパスポートという証明書をもらいイベントなどへの参加が可能になるようです。日本はG7で唯一ワクチンが未承認です。戦争のリスクと隣り合わせのイスラエルとの単純比較は適さないかもしれませんが、デジタル化が致命的に遅れている平和で危機感のない日本は大丈夫でしょうか

卓話『攻めより守りの増強へ』令和3年2月8日

RI第2750地区 会員委員会 委員長 石川 和子様/RI第2750地区 会員委員会・会員増強・維持委員会 委員長 鈴木 明彦様

RI第2750地区 会員委員会 委員長 石川 和子様/
RI第2750地区 会員委員会・会員増強・維持委員会
委員長 鈴木 明彦様

2020‐21年度 会員委員会活動方針

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卓話『おバカ犬!おブスッ犬!おデブ犬!克服大作戦』令和3年2月15日

ウィッシュペット愛犬訓練学校 校長 池田 英由紀様

ウィッシュペット愛犬訓練学校 校長 池田 英由紀様

本日の演題は、おバカ犬!おブス犬!おデブ犬!克服大作戦です。お利口さんですね!可愛いですね!元気ですね!と、一生褒めていただけるワンちゃんにするためにはどうしたら良いのか?ということを、お話させていただきたいと思います。

先ずはワンちゃんではなく、猫ちゃんのお話です。

本来、猫は肉食動物です。ネコ科の哺乳類であるトラは、森林深い茂みに単独で住み、主に夜活動して草食動物である鳥獣を補食しています。また、同じくネコ科の哺乳類であるライオンは、普通十数頭の群れをつくって草原に生息しています。群れで狩りを行い、シマウマやキリンなどを補食しています。そんな映像をテレビで見たこともあるでしょう。

サザエさんのテーマソングを思い出してください。♪お魚くわえたどら猫~という、おなじみの音楽ですね。ここで質問です。お魚をくわえたどら猫は、このお魚をどうしますか?答えは簡単です。どら猫はお魚を食べるんです!しかし、食べはしますが、それを猫が主食にするわけではありません。ところが、この主題歌を50年近くも聴いている日本人の中には、猫は魚を主食にしているんだと勘違いしてしまっている人もいるようです。

少し考えればわかることですが、だいたい、猫が海にもぐってタラやカレイなどの深海魚を捕まえたり、遠洋まで泳いでいってカツオやマグロを捕って食べるでしょうか。あり得ない話ですよね。

にもかかわらず、冷凍食品業者の中には、魚の頭やウロコ、骨、内臓を粉砕して、猫のドライフードや缶詰めを製造しているところがあります。そもそも、魚の頭やウロコ、骨、内臓なんかは人間の冷凍食品に使用しない部位ですよね。とくに、有害物質(水銀や鉛といった重金属、環境ホルモン)は、魚の内臓にたまりやすいのです。極端な言い方をすれば、ゴミや有害物質を粉砕して猫に食べさせているようなものだと、私は思っています。その結果、どうなるのでしょう?猫も動物ですから、体内で解毒が行われます。そして、猫の体臭や口臭、おしっこが臭くなってしまうのです。解毒機能にも限界があります。間違った食生活を長期間続けていると、解毒機能が働かなくなります。そして、解毒をする臓器である肝臓や尿を出す腎臓の機能が障害を起こすのです。

次に牛のお話をします。

本来、牛は肉も魚も食べない草食動物です。また、牛は反芻動物なので、一度飲み込んだ草を口の中へ戻して噛み、また胃に戻しています。4つある反芻胃で、バクテリアや原生動物たちは殺されます。それらの体をつくっていたタンパク質はアミノ酸に分解され、消化吸収されて牛の体をつくります。これが牛の体がつくられる基本です。

ところが、畜産業者の中には短期間に大きく牛を発育させるために、肉骨粉や羊の臓物などの配合飼料を牛に与える人がいました。牛は草食動物なので、動物性のタンパク質を処理できる体の構造にはなっていません。その結果、どうなるのでしょう?イギリスでは1996年、狂牛病が発生し、世界中を震撼させました。牛に発生した狂牛病ですが、それが人間にも感染する可能性があると、イギリス政府は発表しました。現在、狂牛病は日米間や韓米間で国際問題化しています。結果が確定したわけではありませんが、狂牛病は肉骨粉が原因と目されています。

このように、動物の食歴をかえると、さまざまな問題が起こります。

いよいよワンちゃんのお話です。

本来、犬は肉食動物です。犬は犬歯と裂肉歯で草食動物の肉を切り裂いて飲み込みます。イヌ科の哺乳類であるタヌキやオオカミは、原野や森林に住み、草や果物、木の実、昆虫を食べて暮らす鳥獣を補食しています。彼らは火を使用して米を炊いたり、うどんやパスタを茹でたりして食べません。

しかし、総合栄養食として販売されている市販のドッグフードの多くは、穀物(米やトウモロコシ、豆、グレインソルガム、小麦、大麦、オートなどの作物)が主原料になっています。犬が本来食べるものと違う食物を食べていることになります。はっきり言えば、犬の食事には適していません。犬の体が必要とする6大栄養素は、ビタミン、ミネラル(とくにカルシウム)、タンパク質、脂質、糖質、食物繊維です。穀物(炭水化物)は、それほど必要ではありません。

そもそも、犬の短い腸は穀物を消化するのには適した形ではありません。犬は肉食のため、消化管が短くできています。犬の腸は体長の5~6倍です。草を食べる牛は、消化に時間がかかるため、腸が長く、体の20倍以上の長さがあります。ですから、犬の場合、かなりの炭水化物が未消化のまま大腸へ送られます。そのために便の回数と量が増えて、便が水っぽくなります。炭水化物を食べても消化不良を起こすだけです。

それではなぜ、炭水化物をたくさん含む米やトウモロコシなどの穀物が、ドッグフードに多く使用されているでしょうか?ドライタイプのフードの製造工程はパンづくりと似ています。①材料を細かくして混ぜ合わせ、加熱して、圧力をかけて細いチューブから押し出す。②押し出すときに空気を混ぜてふくらませて成形し、乾燥させる(材料の40%以上が炭水化物でないと、うまくふくらまない)。③スプレーで味や風味や色、成分調整のための脂肪酸やアミノ酸などを、振りかける。つまり、炭水化物と空気でふくれているパンのようです。

ドッグフードの製造会社も、犬がもっとも必要とする良質なタンパク質を与えたほうが良いことは知っているでしょう。肉をいちばん多く配合したほうが良いことは、わかっているはずです。しかし、現実問題として、米やトウモロコシなどの穀物のほうが低コストで仕入れることができます。また、穀物を増量することで、安い原材料でドッグフードを量産することができるのです。流通や保存の問題もあるでしょう。

飼主の皆様としても、安いドッグフードに、つい手が伸びてしまうのではないでしょうか。でも、こうした話を知れば、大切な愛犬への食事が、今のままで良いのか、考え方が変わるのではないでしょうか。

ドッグフードの中身を詳しく知りましょう。

ドッグフードの原材料欄におかしな表記を見ることがあります。チキンミール、チキンパウダー、チキンエキス、鶏肉粉、鶏脂肪、ビーフパウダー、ビーフミール、牛肉粉、豚肉粉など。これらは一応肉扱いになるそうです。パウダーや粉、エキスという文字から、肉を細かくしたものであることや、粉々のパウダー状にしたものであることは想像できます。鶏肉や牛肉、豚肉とは書けないわけですからね。元々がどんな肉なのかは不明で、なんとも不気味です。

また、ドッグフードは酸化、劣化しないように、有害な化学物質(合成保存料や酸化防止剤、防腐剤、着色料)が添加されています。

飼主が真に愛犬の健康と長寿を願うのであれば、ドッグフードに頼らないでください。自分で良質で安全な食材を選び、さまざまな方法で毒抜き調理をしながら、愛犬の体質に合ったごはんを手作りしてあげることです。食品添加物だらけのものを与えつづけた結果、愛犬が病気になってしまうとしたら、悲しすぎます。病院にいけば、獣医師は親身になってくれます。ペットショップの店員さんも、ワンちゃんに健康でいて欲しいと言うでしょう。でも、獣医師や店員より、愛犬を愛しているのは飼主ですからね。

人間が口にする食品は、食品衛生法やJAS法により、厳しく安全基準が定められています。加工食品の材料と添加物は、量の多いものから順に、すべてを明記しなければなりません。偽装表示した場合の罰則もあり、厳重に管理されています。

また、牛や豚、鶏などの家畜飼料は飼料安全法に従って、人間が家畜を食べても安全な一定の品質を守るよう指導されています。

しかし、犬は家畜ではありません。なので、ドッグフードは家畜用飼料に含まれません。数年前に愛がん飼料の安全性確保による法律(ペットフード安全法)ができ、犬や猫などペットの生命に悪影響を及ぼすようなペットフードの製造や販売、輸入は禁止されるようになりました。また、有害な物質などが混入したペットフードが流通するなどした場合には、農林水産大臣および環境大臣は、製造業者、輸入業者、販売業者に対し、廃棄、回収など必要な措置を命じることができる、とされています。ただ犬や猫などペットは法律上器物ですので、食品偽装などの問題は後を絶ちません。

これから飼主になる人は、愛犬をどこで買うかよ~く考えましょう。

多くのペットショップでは、感染症予防のため、狭いガラスのショーケースの中に、子犬を1頭ずつ放しておきます。遊ぶのも、ごはんを食べるのも、おしっことウンチをするのも、寝るのも同じガラスケースの中です。

夜間、お店が閉まった後は、店員さんがいません。ですから、おしっこをした場所で子犬が寝ても、汚物まみれになっても、誰もトイレシートを取り替えたり、子犬を洗ったりできません。中には食糞する子犬もいます。

でも、まだしつけていないので、これも仕方ないことなのかもしれません。しかし、このように育った子犬を買った飼主が、トイレトレーニングに苦労されるのは目に見えています。

いっぽう、トップブリーダーの子犬は、母犬からトイレトレーニングをきちんと学んでいます。子犬たちは母犬に寄り添って寝ています。母犬のおっぱいを飲んでいます。寝床でも、ごはんを食べる場所でも、子犬たちは母犬といつも一緒にいます。

生後約10日まで、子犬は排便や排尿を自分でできません。母犬が会陰部や肛門部を舐めて排泄します。生後約10日を過ぎると、子犬は這って前進し始めます。子犬は排便や排尿を自分でします。子犬がおしっこやウンチをするときに、寝床から50cm~1m離れた場所でするように、母犬は子犬を誘導します。寝床を汚さない衛生面の大切さを子犬は母犬から学びます。

また、汚れたトイレをきれいにしたり、汚物をすぐに片付けたり、トップブリーダーは衛生面に気を配っています。ですから、トップブリーダーの子犬は、寝床と、ごはんを食べる場所と、トイレの場所とを、ちゃんと認識しています。

こうした子犬を買うと、飼主はトイレトレーニングに悩まなくてすみます。トイレトレーニングは基本中の基本訓練です。犬は幼いときに覚えた習慣を、生涯忘れません。ですから、悪習に染まった子犬を買うと、飼主はその悪癖を矯正するのがとても大変なのです。

日本では、犬の流行がとても激しく移り変わります。1990年代前半は、大型犬のシベリアンハスキーやゴールデンレトリーバー、ラブドールレトーリバーが人気犬種でした。1995年以降、小型犬のミニチュアダックスフンドが流行りました。その後、CMやTVドラマに登場したチワワやトイプードル、ミニチュアシュナウザー、柴犬などが人気を集めています。

しかし、街中で出会う人気犬は、プロの私の目から見ると、美しい本物とは言い難いものがほとんどです。骨の細いひょろひょろしたトイプードル、巨大なミニチュアダックスフンドやチワワ、不細工な顔をしたミニチュアシュナウザー、雑種にしか見えない柴犬などなど。一般の飼主は、その犬種のショータイプの姿を見たことがないのです。ドッグショーに出陳される犬は、大型犬も小型犬も、とても美しい健康的な体をしています。骨格構成が良くて、毛量も多くて、筋骨隆々です。

こうしたショータイプの犬を持つトップブリーダーは、母犬と子犬を絶対に引き離したりしません。やたらに他人に見せたり、触らせたりもしません。母犬は子犬を守ろうとして、飼主に対しても唸ったりするときがあります。引き離されたショックで母犬が死んでしまったり、子犬が病気になってしまうこともあります。ですから、犬の専門誌やテレビに登場する犬も、こうしたショータイプの犬ではありません。なんちゃってトイプードルなどのペットタイプです。

子犬を入手する方法はさまざまです。友人から譲り受けたり、動物管理センターやボランティア団体で保護された犬の里親になったり、ペットショップやブリーダーから買ったりすることができます。最近はインターネットによる販売もあります。しかし、一般の飼主がショータイプのような、最良の子犬を入手するのは不可能です。

全国の動物管理センターやボランティア団体は、毎年40万頭もの犬を保護、捕獲しています。コロナ禍でその数は10%以上も激増しています。犬を野山に捨てたり、不用になった犬を動物管理センターに持ち込んだりするのは、身勝手な飼主や悪質ブリーダー、悪徳ペットショップ店員たちです。捨てられた犬の中には、ペットショップで売れ残った犬もいれば、新しい子犬を買うために下取りに出された先住犬もいます。

飼主が犬を放棄する理由はさまざまです。流行遅れの犬なのでいらない。飽きたから捨てる。大きくなって可愛いくないのでいらない。転勤で飼えなくなったので捨てる。吠えてうるさいのでいらない。人を噛んでしまったので捨てる。老衰で介護が面倒なのでいらない。病気になって医療費が高いので捨てる。長期の海外旅行へ行くのでいらない。ペット禁止のマンションで飼い始めたが管理人に見つかったので捨てる。別れた彼氏からのプレゼントだったのでいらない。新しい恋人が犬嫌いなので捨てる。忙しくて世話ができなくなったのでいらない。

捨てられた40万頭のうち、元の飼主に返還された犬は1万5000頭、新しい飼主に譲渡された犬は1万頭です。残りの犬は殺処分されています。

生活に不便になったからという勝手な理由で犬を放棄していいはずがありません。一度捨てられて人間不信になった犬を再度飼養するには、愛情をたくさん、たくさんかけてあげなければなりません。困っている犬を助ける情け深い里親の皆さまに、私は心から感謝申し上げます。小さな命を救ってくださり、本当に有難うございました。可愛い愛犬に、くれぐれもよろしくお伝えください。

このように、ペットブームの裏側で、多くの犬の命が粗末に扱われています。直接の原因は、犬を捨てる飼主の意識の低さです。しかし、それを生み出している背景に、悪質なブリーダーの乱繁殖や、安易な販売があることも事実だと私は思います。

日本ではブリーダーからの申請にもとづいて、JKCや犬種団体が血統書を発行しています。純血種同志の交配であれば、純粋種の標準から外れた劣悪な子犬であっても、血統書付きの由緒正しい犬になれます。悪質ブリーダーは、利益優先で、次から次へと人気犬種を繁殖します。そして、性格や体形に問題があっても、奇形や病気が疑われる犬であっても、子犬のうちならわからないと、まとめて大量に卸売りしています。

犬の繁殖は、その純血種の維持と発展を考えて行うべきだと、私は思っています。犬の繁殖には遺伝学や獣医学などの専門知識が必要です。ブリーダーはプロの意識と自信と愛情を持って、自分の専門犬舎から素晴らしい子犬を世の中へ送り出さなければなりません。

私がお付き合いをしているトップブリーダーは、チャンピオン犬の牡犬とチャンピオン犬の牝犬を持っています。犬種ごとに定められた体形や毛色などの標準をきちんと維持して、優秀な子犬を繁殖しています。

子犬は健康な母犬の母乳を飲み、すくすくと育っています。早いうちに親や同腹犬との遊びの中で、上下関係などさまざまな経験を積むことができます。また、トップブリーダーは、毎日の離乳食の内容や量を加減したり、サークル内の衛生面や子犬の健康面の管理にも、きめ細かく気を配っています。さらに、健康診断や検便、ワクチン接種を動物病院で行ったり、DNA遺伝性疾患の有無の検査を海外の検査機関で行っています。検査結果でクリアと診断された犬は、検査を受けた遺伝性疾患を発症しません。もしも産まれた子犬に遺伝性疾患があったり、虚弱体質であったときには、出産直後に淘汰したり売ったりせずに、トップブリーダーの元で、死ぬまで育てています。トップブリーダーは、たっぷりと愛情を注いだ子犬を不幸にしたくありません。どこへ行くかわからない、誰が飼うかわからない売り方を良しと思っていません。愛情と時間とお金をたくさんかけてくださる信頼できる愛犬家族に飼ってほしいと考えています。

しかし、一般の飼主がトップブリーダーを突然訪問して、最良の子犬を入手するのは不可能です。そこで私は、優秀な子犬をほしいという方の相談にものっています。

日本人が犬を飼おうとするときに、ペットショップで購入するのが最も多いルートです。ペットショップの中には、営業中、音楽がガンガン店内に流れていて、照明がギラギラ照らされている所も少なくありません。お客が次から次へとやってきて、ガラスケースの中を覗き込んだり、ガラスの壁面を叩いたり、騒いだりします。興味を持ったお客は、子犬を抱っこしていじくりまわします。

子犬は1日20時間以上熟睡しなければならないのに、このような状況では睡眠不足になります。

これでは成長ホルモンが、きちんと分泌されず、順調な発育が滞ってしまいかねません。正しい睡眠が取れないと、免疫力も低下し、さらに、ストレスがたまれば病気にもなります。

狭い空間にいる子犬は運動不足でしょう。骨や筋肉の障害を起こしやすくなります。ガラスケースの中をくるくる回っていたために、外へ出したときに前進せず、くるくる回りながら歩く子犬もいました。

子犬は産まれてから2ヶ月まで、母犬や兄弟姉妹犬と一緒に暮らしながら、上下関係や社会化、トイレトレーニングを適正に学びます。しかし、母犬や兄弟姉妹犬から早く引き離されて販売された子犬は、人に懐かない、物音を怖がる、無駄吠えをする、噛み癖があるなどの問題行動を起こす傾向があります。

日本では、おとなしくて小さい子犬がよく売れるため、ペットショップの中には、子犬が大きくなり過ぎないように、ドッグフードや水を満足に与えないお店もあります。これでは栄養失調や低血糖症になってしまいます。

こうしたことを承知の上で、飼主は、子犬を買うべきです。

インターネットを見て子犬を買う人も、ここ数年激増しています。しかし、ネット販売にからむ苦情が、国民生活センターに毎年200件以上も寄せられています。ネットの写真はブラウンの子犬だったのに、レッドの子犬が送られてきた。注文した子犬はメスだったのに、届いたのはオスだった。購入した子犬が感染症にかかっていたので、苦情のメールを出したが、返信がなかった。このような詐欺まがいの悪徳業者もいます。直に子犬を見ないで買うことには、このようなリスクがあることも覚悟しておいた方がいいでしょう。販売業者が遠く離れている場合には、子犬を連れて抗議に行くのも大変です。子犬の特性や遺伝性疾患の有無を知らずに飼い始め、しばらくして疾患に気づき、安易に子犬の飼育を断念してしまうケースも多々あります。

生き物である以上、家電製品と同じように大量生産、大量消費、余れば廃棄というわけにはいきません。子犬は家電製品を買うのとは違うのです。

犬を衝動買いしてはいけません。ペットショップで子犬が潤んだ目であなたを見つめ、このガラスケースの中から救い出してと訴えかけていると、早とちりしないでください。

子犬の名前は○○ちゃんがベストです。

何かを要求するときの犬の鳴き声は、日本語ではワン!ワン!です。英語ではバウ!ワウ!です。

フランス語ではワフ!ワフ!、ドイツ語ではハフ!ハフ!、ロシア語ではガブ!ガブ!です。どちらも母音のあ~!が含まれています。それは、犬にとってあかさたなはまやらわが聞き取りやすいからです。母音にあ~が使われている、サンマちゃんやハナちゃん、アカちゃん、マロンちゃん、タロウちゃんは、犬が最も認識しやすい名前なのです。

誉めるときと命令するとき以外は、名前を呼ばない。

子犬のときには、名前を呼べばしっぽを振ってやってきたのに、成犬になると、飼主を無視する犬がとても多いようです。

これは、犬が飼主を馬鹿にしているケースもあります。しかし、その原因の多くは、ふだん散歩もほとんどしないし、あまり遊んであげることもしないのに、飼主の都合だけで名前を呼ぶので、呼ばれても行く気がしなくなってしまったのです。

これからは、名前を呼んだら、100%飼主に集中させて、次においで!お座り!などをさせてください。名前を呼ばれたら命令されることを犬が認識するようになれば、名前を呼んだだけで飼主の足元へやってきて、命令待ちをするようになります。

ただし、遊んであげているときや、命令に従って誉めてあげるときは、名前を呼んで、思い切り可愛いがってあげてください。

犬がいけないことをしたときには、ダメ!と言うだけで名前を呼ばないでください。

食事の魔法

家庭の主婦が家族の食事に気をつかうように、飼主なら誰だって愛犬の食事に無頓着でいられるはずがありません。最近夏バテして食欲がない、毛艶がない、などなど。愛犬には、早めの対処が肝心です。

○体を冷やす食材(砂肝やかも肉、きゅうり、トマト、あさり&しじみのだし汁など)を与えて夏バテを防止しましょう。

○体を温める食材(鶏レバーや豚レバー、牛レバー、カボチャ、かぶ、キャベツなど)を与えて冬の冷え性を防止しましょう。

○ビタミンEと脂肪酸を多く含む食材(オリーブオイルやゴマ油、高野豆腐、きなこ、アーモンドの粉など)を与えて毛艶を良くしましょう。

○下痢をしたときには、お汁粉のみを与えましょう。あずきは疲れた内臓の働きを助けて、回復を早めます。また、有害物質を体外に排出します。

お手入れの魔法

愛犬にはいつまでも可愛くいてほしい。これは飼主の共通の願いです。ここでは愛犬の美しさを保つお手入れ方法を紹介します。

○お手入れ用品は、精製水500ml、ホウ酸の粉(3g入りの袋)、化粧用コットン。

○涙やけができた愛犬のお手入れ方法

①精製水500mlに3gのホウ酸の粉を1袋入れ、ボトルをよく振って溶かす(濃度0.6%のホウ酸水をつくる)。

②①のホウ酸水をコットンにたっぷり染み込ませ、被毛についている目やにをつまんで取る。

③別のコットンにホウ酸水を染み込ませ、目のふちに沿って、涙をきれいにふき取る。ゴシゴシやらず、やさしくやること。

④②と③のお手入れを毎日すること。

⑤目の中にホコリや被毛が入っていたら、ホウ酸水を目の中に入れて、流し出す。右目と左目ではコットンを変えること(病気が感染する危険あり)。目やにが被毛にこびりついていたら、猫用のノミ取りくしで取る。

このホウ酸水をたっぷり染み込ませたコットンで、食事後の口まわりやお散歩後の肉球、おしっこ後の会陰部、ウンチ後の肛門をきれいにしてください。

犬は人間よりもずっと早く死んでしまいます。もし犬と人間が同じ年齢まで生きるとしたら、人間には1日24時間ありますが、犬には1日4~5時間しかありません。寝ている時間を引いたら、1日2時間あるかないかです。

起きている時間に、ごはんを食べたり、散歩をしたり、遊んだりします。短命の犬としては、せっかくごはんを食べるのなら、ジャンクフードよりも飼主の愛情いっぱいのごはんのほうがいいですよね。

散歩のときに、おバカ犬だ!おブス犬だ!おデブ犬だ!と思われるよりも、お利口さんね!可愛いね!元気だね!と誉められるほうが、飼主も犬もうれしいに決まっています。

人間は年をとってくると、心の内を話すことも、またそれを聞いてくれる人も少なくなってしまいます。でも、愛犬だけは、飼主の心の内をじっと聞いてくれます。もちろん、愛犬はその見返りを求めません。打算もありません。飼主の伴侶である妻も夫もそんなことをしてくれません。飼主にとって愛犬は、魂の伴侶なのかもしれません。

犬は家族間の争いごとを嫌います。夫婦ゲンカも親子ゲンカも兄弟ゲンカも大嫌いです。家族が言い争いを始めたら、犬は寂しそうな顔をします。そんな犬の姿を見た家族は、口ゲンカをやめます。険悪な顔つきから、恵比寿顔に変わります。犬の力ってすごいですよね。平和主義者ですからね。

生涯の中で、愛犬はいろいろなことを飼主に教えてくれます。愛犬が元気でいるときに、飼主も愛犬にたくさんのことをお返ししてあげてほしいです。

安全な食材を選んで、栄養満点の美味しいごはんを愛犬に作ってあげてください。毎日、歯みがきやブラッシングをしてあげてほしいです。早起きをして、1時間たっぷり散歩をしてください。日曜日やお休みの日には、家族で愛犬と一緒にピクニックへ出かけてください。

あなたが飼主であったことを、愛犬は感謝すると思います。飼主が愛犬の健康と長寿を願うのであれば、おバカ犬!おブス犬!おデブ犬!にしないでください。

飼主も愛犬も今以上に幸せになるために、本日の卓話の内容をお役立ていただければ幸いです。ご傾聴くださり有難うございました。



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