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国際ロータリー第2750地区 東京六本木ロータリー・クラブ The Rotary Club of Tokyo Roppongi

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卓話

2019年5月

卓話『トランプの世界撹乱外交とヨーロッパの対決』令和元年5月13日

元NHK国際経済担当 解説委員 伴野 文夫様

元NHK国際経済担当 解説委員 伴野 文夫様

私が最初にヨーロッパに行ったのは1960年代、まだアメリカが全盛期の時代でした。しかしその頃からドルの権威はぐらついておりました。ドルが混乱した時に備えて自身の通貨を持っていなければならないというのが、当時のヨーロッパの考え方でした。1970年に最初の統一通貨案が提出され、当時NHKのブリュッセル特派員だった私は、以後50年間に渡りヨーロッパ統合を見つめてきました。最近の情勢について私の考えを述べたいと思います。

50年前に国際経済を取材し始めた時には全く想像できなかった世の中が、今出現しようとしています。トランプ大統領は就任演説で「偉大なアメリカを再び」「アメリカンファースト」この2つをスローガンとして掲げました。以後、トランプ大統領がやっていることの筋書きは、戦後アメリカ自身が構築した旧秩序を破壊し、超保守派の考え方に基づく新秩序を作ろうという動きになっています。中国に対しての経済崩壊まで視野に入れた制裁や、イランに対しての反米政権を転覆させることも視野に入れた強行措置により、今世界中が非常に危険な発火寸前の状態にあります。

5月に、ヨーロッパ議会選挙を迎えます。イギリスは、国民投票でEU離脱を決めたのに離脱を実現することができないという奇妙な状態です。保守党と労働党がお互いに自分の党の主張だけで解決しようとしていましたが、双方に同じ考え方を持った新しい別の党を作って問題を解決しようという動きが出てきて、やっと保守党と労働党が話し合いを始めました。しかし労働党は関税同盟を主張し、保守党は絶対に認めないということで、動きが取れなくなっています。

トランプ大統領は合意なき離脱の支持者です。前外務大臣で離脱強行派のボリス・ジョンソンと非常に息が合っていて、離脱強行派の主張が通りイギリスが離脱すれば、EUが大混乱に陥り、次から次に離脱する国が出てくると考えています。トランプ大統領は強引な合意なき離脱の支持者であることを頭に入れておいていただきたいと思います。

去年の4月、トランプ大統領はフランスのマクロン大統領を初めての国賓として迎えました。トランプ戦略とマクロン戦略はすべての面で完全に対立します。マクロン大統領の最高目標は地球環境を守るということです。地球汚染対策はすでに1分1秒を争う段階に来ていて、環境に対応する形で産業改革をすることが新しい刺激になり、経済成長をもたらすと考えています。そして今年1月にアーヘン条約を結び独仏協力を改めて強化しました。フランスとドイツが協力体制を組むことにより、アメリカや中国という大国に対向していこうという戦略です。

マクロン大統領が2年前にすい星のごとく現れ、たった1年間の選挙運動で20万人ほどの若者がSNSで結集し支持をした結果、66%という大変な高率で大統領に当選しました。ヨーロッパは歴史的に階級闘争の地域でしたが、長い戦後の歴史の中で革新と保守の政権交代が頻繁に行われ、社会保障が充実するに従って労働組合も穏健になり、階級闘争の時代が終わりつつあります。EU問題にも関係しますが、イギリスではいまだに労働党と保守党が対立し、問題を解決できないでいます。マクロン大統領は、そんな対立は早くやめて、労働党も保守党も一緒にやればいいじゃないかというところへ問題を持って行ったのです。マクロンが突如政権を取った非常に重要なポイントです。極左、極右グループは排除しますが、左右の中道勢力を一本化し、民主共和制を名乗る。これが「左も右もない」というスローガンを掲げるマクロン主義の基本的な考え方です。

ヨーロッパ議会選挙では、中道派と極右連合の対決が見どころです。従来の中道派であったドイツの保守党CDUと、勢力が後退しつつある社会民主党SPDが過半数を割りそうであり、反対に極右が多くの議席を取りそうだという予想です。そしてみどりの党と、マクロンが作った新しい中道派がどれくらいを占めるか。もう一つ、イギリスの国民投票で大暴れをしたファランジュが新しく立ち上げたブレグジット党が、イギリスの保守党や労働党よりも多く票を取りそうだということが注目されています。

5月27日にトランプ大統領が来日します。マクロン大統領も大阪のG20で来日し、その直前6月末に国賓として迎えられます。一方に親密な日米同盟があり、もう一方に中国の巨大市場という捨てきれない市場があります。この二股外交が股裂きにならないように、日本は中立のイニシアチブをとっていくのが望ましいのではないかと考えます。ASEAN+日中韓に、EU28ヵ国が参加するアジア・ヨーロッパ・ミーティングASEMという51ヵ国の組織があります。日本にとって一番相応しい活躍の場所だと思います。

トランプ大統領が次期大統領選挙に勝った場合、2025年までは大暴れを続けるであろうと考えます。中国やロシアの後ろにある上海協力機構という組織には、イランやトルコなどの、ユーラシア大陸の曲者国家が入っています。トランプ大統領はそのような国とどう対決していくのかが見どころです。マクロン大統領も次の選挙で対抗馬は今のところいません。フランス大統領は任期がアメリカより一年長いので、マクロン大統領が当選すれば、2027年まで大統領を務め、そのあと、EUの首脳会議常任議長、EU大統領といわれているポストにつく可能性は十分あります。そしてそこに習近平やプーチンのような反トランプ側の人たちが在任していれば、オバマ時代のようなアメリカに戻る保証はありませんが、目の前の敵がいなくなるという状況になるかもしれません。

21世紀の秩序や地球環境を堂々と語り、まったくスキャンダルのない大変に素晴らしい世界の指導者はマクロンしかおりません。敵もたくさんいますが、正しい戦略を持つマクロンはどんな困難にもへこたれない。というのが、私の今日の結論でございます。

欧州議会選挙の結果を受け、伴野様より文章を頂きました。

新聞やテレビは欧州議会選で、中道派は過半数を割る、EU懐疑派躍進という見出しを付けていますが、これはEU嫌いのロンドンの新聞の影響で、実際には中道派はマクロン党と緑の党の欧州全域にわたる躍進で、過半数を余裕をもって確保しました。

また三分の一の議席を獲得して、欧州議会を揺さぶるといわれた、極右の反EUグループは五分の一の117議席にとどまりました。

ありがとうございました。

卓話『ミツバチから学ぶ私達社会の在り方』令和元年5月20日

NPO銀座ミツバチプロジェクト 理事長 東京銀座新ロータリークラブ会長エレクト 田中 淳夫様

NPO銀座ミツバチプロジェクト 理事長 東京銀座新ロータリークラブ会長エレクト 田中 淳夫様

銀座新ロータリークラブの田中と申します。

私は銀座3丁目にある紙パルプ会館に入社し、銀座が元気になればという思いで活動をしています。

銀座は、夜のお店やデパート、専門店など、色々なものが集合してできています。食、医療、福祉など、銀座の町を学ぶ様々な勉強会を開き、紙パルプ会館から発信しようという活動をしてきました。食に関する勉強会で、屋上を探している養蜂家がいるというお話がありました。それがミツバチとの出会いです。

天然のはちみつが銀座で採れたらおもしろいなと思い、それが二転三転してミツバチを飼うことになりました。町の皆さんから大丈夫かとの意見もありましたが、いざ始めてみたら多くの皆さんが応援してくれました。ある老舗の会長から「銀座は元々明治から新しいものを受け入れてきた。それが町にそぐうかどうかはわからないが、いいものは残る。そうでないものは見えない銀座のフィルターで消えていくんだよ。」というお話がありました。あの時ミツバチが飛んだよね、で終わらせないためにはどうしたらいいのか考え続けてきました。スタート時町の皆さんに声をかけて集まったのが「銀座ミツバチプロジェクト」です。巣箱を入れたのが2006年3月28日。おかげ様で10年以上続けられています。

ミツバチはどういう生き物なのでしょうか。アゲハ蝶もカブトムシも、親が卵を産み、あとは勝手に育ってくださいねというスタイルですが、ミツバチは女王バチが卵を産むと、みんなで育てます。はちみつと花粉を練って幼虫に餌をあげます。幼虫が羽化するまで21日、成虫になってから20日目ぐらいで外に飛び立つ準備をします。1ヶ月という短い命を次につなげていくのがミツバチです。オスは全く働きません。女王バチが来るのを待ち、交尾をしたら交尾器が折れて死んでしまいます。女王バチは15匹から20匹のオスと交尾をし、たくさんの遺伝子を持って戻り、数日後から卵を産み始めます。このように、ミツバチは1匹では生きていけません。常に会話をして集団で生きています。

桜の時期になると、銀座の周りにもたくさんの花が咲きます。ミツバチの行動範囲は3km四方ですが、春から初夏にかけて桜、菜の花、ユリノキ、マロニエ、リンデンなど、街路樹含めて周りにはたくさんの蜜源があります。江戸時代から消費する銀座だからこそ、食べられるものが来出るのは画期的です。

最初の年は150kgだったはちみつが、2013年には1tを超えました。たくさんの方の力を借りて町の中ではちみつが取れたことで、子ども達に命の環境教育をしています。

私たちは、はちみつを売ることでそれを源泉に、地方の生産者をお招きして、消費者と生産者が直接顔が見えるマルシェやフォーラムなど、様々なイベントをしています。新潟県の村上の皆さんと一緒に稲を干すハサガケをして屋上のテラスで新潟の食材とお酒で交流会をしたり、また東北がどう復興するのか、山の中にある竹林をどのように解決するのかなど、皆で話し合ったりしています。現在全国100ヶ所以上でミツバチプロジェクトが広がりました。都市養蜂は韓国にも火が付き、多くの事例が出来てきました。地元の高校生たちが元気のない商店街を活性化したり、たくさん広がる耕作地に花を植えたり、地域の課題と向き合うということも広がってきました。今年京都の同志社大学でもミツバチプロジェクトが立ち上がり、それをきっかけに比叡山の荒れた山の風景をもとに戻そうという取り組みも始まりました。東京駅の目の前で、三菱地所さんと日本工業倶楽部さんに協力をいただいて、丸の内ハニープロジェクトも始まりました。海外では空港養蜂が始まっているということで、ANAさんに相談したところ、萩の石見空港の滑走路脇に巣箱を置き、去年は1.3tのはちみつが採れたそうです。もともと便数が非常に少ないので、空港の活性化に繋がっています。

みつばちから始まったプロジェクトですが、今では福島の酒米、徳島県のすだち、大分県のカボス、八幡平の馬糞堆肥、秋田県のマイタケなど、蜜源に関係なく地域で協力できることはすべてやっていこうということで活動をしています。菜の花を植える交流から銀座中学校と福島の西信中学校の生徒会同士の交流も始まっています。

2016年には収穫した芋で銀座芋人という焼酎を作り、グッドデザイン賞をいただきました。

銀座からバイヤーやデザイナーなどのメンバーが行き止まりの集落にお邪魔して、交流を深め、そこからさまざまな商品が生まれます。今まではなかなかあり得なかった関係ができてきました。地域の皆さんと、目の前にある課題をどうやったら緩やかに向かい合うことができるかと考えています。

縁あって繋がった福島では、足元の資源を有効に使おうという提案をし、太陽光と農業を一緒にやるソーラーシェアリング事業も始めました。全国の農地にソーラーシェアリングをすると、原発1800基分になります。地域にお金のまわる仕組みを作りたいと皆さんと新しい日本の社会の在り方を広げていけたらいいなと思っています。

私たちは単にミツバチを飼っただけですが、そこから視点を先へ広げ、現在の形になりました。当初は想定もしていませんでしたが、銀座の町で続けていくためにはどうしたらいいのかと考えた結果が現在へと繋がっているのだと思います。

六本木ロータリーの皆さんの中でも応援してもいいよという方がいらっしゃいましたら、是非よろしくお願いします。

ご清聴ありがとうございました。

卓話『ARIGATO RELAY for future ―日本を感謝先進国に―』令和元年5月27日

2007年-2008年アメリカ派遣ROTEX,「日本人が知らない世界中から愛される日本」原案者 會田 有璃様

2007年-2008年アメリカ派遣ROTEX,「日本人が知らない世界中から愛される日本」原案者 會田 有璃様

皆様は、東日本大震災の時に、どの国が支援をしてくれたかをご存知でしょうか。実は163の国が支援の申し込みやお見舞いの言葉をくださいました。

私自身が小学校の頃、海外で日本人としてある種の差別を受けていたからかもしれませんが、世界中がもっと仲良くなればいいのにというシンプルな思いがありました。高校生の時にロータリーでアメリカに1年間留学させていただき、どの国の人も同じように感情があり、感謝されると嬉しいのだということに気付き、世界がもっと感謝で繋がったらどんなにいいだろうかと考えるようになりました。大学生の時に、日本が感謝できるエピソードはないか、世界が仲良くなれる手掛かりを探すため、大使館を回り外交官の方にインタビューをしました。そして震災の時以外にも日本は色々な国にお世話になっていたことに気付き、それらをまとめて「日本人が知らない世界中から愛される日本」を出版させていただきました。

本日は自分の夢と志、そして本の内容の一部を紹介させていただきたいと思います。

夢は宇宙飛行士でした。元々は本を書くためではなく、宇宙飛行士になるために留学させていただきました。宇宙空間では重力がない分、結晶が綺麗に形成され、新薬創出の可能性の場として使われていることを、宇宙飛行士の向井千秋さんに教えていただき、無重力空間で新薬の開発をしたいと具体的に考えるようになりました。その一環として、現在は製薬会社で新薬の開発業務をしています。

夢は宇宙飛行士になることでしたが、私にとっての志、つまり誰かのために持っている目標は「日本を感謝大国にして世界を繋げること」です。

本の一部を紹介させていただきます。

パラオ

日本はパラオを統治していましたが、日本兵とパラオ人は仲が良かったそうです。太平洋戦争が勃発した際、パラオの人達は共に戦うことを決意しましたが、トップの中川大佐は「貴様ら土人なんかと一緒に戦えるか」と怒鳴りつけ、パラオの人達はひどく傷付きました。しかし島民を乗せて戦火の及ばない島へと渡る船が出航した直後、日本兵は一斉に見送りに行きました。手をちぎれんばかりに振っている姿を見たパラオの人達は、自分たちの身を案じてわざと突き放したのだと気付きました。戦争が終わり、島に戻ってきたパラオの人たちは、放置されていた日本兵の遺体を丁寧に埋葬し、お墓を作ってくれました。今でも大切にしてくれています。月を象徴しているパラオの国旗には、月(パラオ)は太陽(日本)があって初めて輝くことができるという意味が込められています。日本軍が命に代えて守ってくれたという感謝を持ち、強力な米軍と戦った日本人の勇敢さに敬意を抱いているそうです。戦後70年が経った2015年4月8日、天皇陛下がパラオを訪問されました。慰霊が行われる4月9日を天皇皇后両陛下訪問の日として、今後も州の祝日とすることが法律で決定されています。

モーリタニア

1993年、日本人のアマチュアドライバーがモーリタニアの小さな漁村近くで事故をおこし、車が大破しました。大けがを負い、自力で車外に出ることもできない状況でした。そこを通りがかった一人の少年は自分の村まで引き返すと、「お父さん達が乗っている漁船と同じマークのついた車が岩に突っ込んだ。早く助けてあげて。」と叫びました。同じマークとは日本の国旗です。日本の車と聞いて、村人総出で救出に向かいました。2人の日本人は病院へと迅速に搬送され、一命をとりとめました。この村は漁業で生計を立てていますが、手漕ぎボートのため漁獲量は多くありませんでした。それを知った日本は1992年に無償で漁船や船外機を送りました。その際、友好の印として両国の国旗を並べて貼ったそうです。感謝の気持ちを常日頃忘れずに持っていて、個人的にも見習いたいと思いました。

スリランカ

サンフランシスコ講和会議において、戦勝国は日本に対して、対日賠償と制裁措置を叫んでいました。日本に平和や自由を与えることは許されない、国を分割して統治すべきだとの意見に真っ向から反対した国がスリランカです。のちの大統領J・R・ジャヤワルダナさんは、「憎しみは憎しみによっては止まず、ただ愛によってのみ止む」という仏教の言葉を引用し、戦後賠償を自発的に放棄し、日本が独立国であったほうがいいという演説を行いました。この演説でソ連による反対を押し切り、日本の国際復帰への道が繋がりました。条約締結後、世界で一番早く日本と正式に外交関係を結んだのもスリランカです。こうしたサポートがなければ、日本は戦後賠償に苦しみ、高度経済成長を成し遂げることはなかったと思います。

オランダ

東日本大震災の支援の一環として、オランダ人が開発したトウホクという名のチューリップの球根一万球が仙台市に送られました。開花中にオランダの象徴オレンジ色から、日本の桜の色であるピンク色に変化するチューリップです。オランダ大使館には、たくさんの子ども達からのお手紙が届いていました。寄付を募るための寄付金ボックスのコンテストも開かれたそうです。

この他にも、イスラム教のシーア派の武装組織により混乱状態であった時に、取り残されていた日本人旅行客を救ってくれた中国や、台風で増水した川で溺れていた子を助けてくれた中国人留学生、また東日本大震災の時に町中で応援してくれた韓国など、いつまでも恩を忘れずにいたいと思うエピソードがたくさんあります。

嬉しいことに増刷が決定し、現在一万部を突破しました。岸田外務大臣にも「日本は援助してきただけではない。他国にお世話になった事実を忘れてはならないと感じました。」というお言葉をいただきました。また、有名なトルコのエピソードが中学校の教科書の副読本に載りました。

私の次の目標は、本を絵本にすることです。たくさんの人にこの内容を広めていきたいと思っています。

私が発表できる場がありましたら、ご紹介いただけましたらとても嬉しいです。

ありがとうございました。



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