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卓話

2018年8月

卓話『2026年までの経済予測と企業経営』平成30年8月20日

渡辺 林治様

リンジーアドバイス(株) 代表取締役社長 渡辺 林治様

6月に集英社様から「2026年までの経済予測」を出版させていただきました。

世の中の変化に対してどのように対応策を準備し実行すれば、長期的に心安らかに生活を続けていけることに繋がるのか、2026年までの経済予測を踏まえた企業経営と資産形成というテーマで考えていきます。

この先10年の日本の社会や経済は、明治維新や戦後の歴史など、時代が大きく変わってきた時と似ているのではないかと思います。黒船の来航時はヨーロッパで産業革命が起き、日本の銀を中心とした通貨制度がアメリカやヨーロッパと繋がった影響で、日本の物価が高騰しました。またヨーロッパと日本の産業が競争をするなど、大変な時代でした。現在アメリカのAmazonやAppleというIT産業の流れや、トランプ大統領の出現などにより、時代が大きく変わってきています。その中で個人も含めてどのように活動していけばいいのでしょうか。

乱高下期に入った日本経済

2020年頃まで、経済は乱高下を続けるのではないかと考えています。2018年は各国で中央銀行の総裁の交代がありました。またアメリカでの中間選挙対策として、トランプ大統領は様々な政策を行っており、アメリカと中国の貿易摩擦も非常に強まっています。2019年には地方統一選挙、参議院選挙があります。5月には元号が変わり、ラグビーのW杯が予定されています。祝意の盛り上がりにより景気がよくなる事もありますが、その後の消費増税や2020年の会社員の増税などにより、経済の混乱のリスクが予想されます。

現在アメリカの経済制裁が様々な形で波及しており、中国の経済情勢が悪化しています。一方でアメリカは中間選挙を前に様々な政策が行われるであろうということで、経済については安心できない時期が続きそうです。

しかし2020年代に入ると、東京五輪後の不況対策を受け、景気が回復しやすくなると考えます。加えて、現在日本の企業では、持続的な成長を目指して積極的に設備投資を行い、雇用を増やし、研究開発をするというような企業行動「コーポレートガバナンス改革」が広まり、従来は守りの姿勢であった上場企業が、政府の政策によって全く変わりました。業績は好調で、設備投資や整備基盤を積極的に行っています。一方海外に目を転じてみると、2020年の大統領選挙に向けてアメリカで更なる景気対策や追加減税が行われるであろうと見られ、設備投資に関しても非常に前向きです。今後、金融機関への厳しい規制である「ドットフランク法」を見直すための法律が通ると、2028年のロサンゼルス五輪を旗印に、企業の設備投資、インフラ開発等に資金が回りやすくなることが考えられ、景気の拡大に向かっていくのではないかと思います。

繰り返されるバブルとその崩壊

これまでの主なバブルには、不動産バブルやITバブル、アメリカのサブプライムローンバブルがあります。一方で、日本経済が非常に厳しい時期は、急激な円高に繋がったプラザ合意、バブル崩壊、阪神淡路大震災、リーマンショックそして東日本大震災でした。そして今はどういう時期かと言うと、2014年の消費増税で悪化した景気が、ゆっくりと回復してきており、バブル期と崩壊のちょうど中間地点にあると言えます。ピーク時に景気が悪くなる場合、日経平均株価は5割を超えて下がることが多いですが、現在の景気を考えると、悪くなった場合でも下げ率は2割から3割にとどまるでしょう。

五輪開催に際しての注意点

多くのマスメディアでは、東京五輪の後、大きな不況に突入するのではないかという見方が出ています。しかし私は必ずしもそうではなく、景気が拡大するのではないかと考えています。一方で、過去の五輪を振り返ってみると、北京五輪の2年前に上海株価が急落しました。ロンドン五輪の1年前にはギリシャ危機や通貨危機などが起きています。リオデジャネイロ五輪では、経済全体の動きを表すGDPが2年続けて低下しています。以上のことから、五輪後よりも五輪前を心配したほうがいいことが分かります。今後としては、東京、パリ、ロサンゼルス五輪の前には注意が必要で、設備投資を行う時には、こうした歴史的な視点を持つことも必要でしょう。

資産形成と企業経営へのヒント

こうした不安定な経済状況が予想される中で、私たちはどう安定した資産を形成すれば良いのでしょうか。参考になるのが、国民の年金を運用する公的機関「GPIF」の運用手法です。GPIFでは、その資産を、現金や安全な国内債券で40%、その他国内株式や外国債券、外国株式をバランスよく保有しています。長期的な視点から年金を運用しています。

会社の経営においては持続的に維持発展することが大切で、そのためには売上げを増やす努力、収益性を維持すること、現金を十分に持っておくこと、さらに社会性を意識することが重要です。今時代が大きく変化してく中で、乗り越えていくためには様々な基盤整備も重要であると考えます。

個人の生活を守り、乱高下期を乗り切るために一番大切なことは、長期的な視点で考え、取り組む姿勢だと思います。

本日申し上げたことは、これから先10年起こりえることのひとつの仮説です。

皆様のお仕事が長く続き、またご家族の健康とともに、経済的により余裕を持った生活に繋がることを願っております。ありがとうございました。



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