「楽しく一緒に気分よく」

国際ロータリー第2750地区 東京六本木ロータリー・クラブ The Rotary Club of Tokyo Roppongi

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卓話

2018年4月

会員卓話『認知症をぶっ飛ばせ!』平成30年4月23日

秋津 壽男会員

秋津 壽男会員

認知症の原因はアミロイドβ タウ蛋白がたまるというが、、、
実は原因なのか結果なのかいまだにわかっていない。薬は本当に効くのかというと、実はあまり効果がない。せいぜい進行を遅らせるだけ。抑肝散という小児の癇の虫に使う漢方薬は、認知症の攻撃的な言動行動を押さえてくれる効果がある。

症状は匂い感覚の低下から始まる!?
物忘れと認知症の違いとは、物忘れはヒントがあったり、調べたりすれば思い出す。認知症は忘れていることが自覚できない。検査法の代表は長谷川式認知スケール、サンプルを用意しました。

予防法は、脳血管性痴呆予防のため動脈硬化リスク(高血圧、糖尿、高脂血症、肥満、喫煙、飲酒、家系、年齢、ストレス)を減らすこと。

ほかに良いのはワインの香りをテイスティング、大きな犬を飼う、音読で脳を刺激などなど

普段から心掛けたいのは、大きな声で歌を歌うこと、好奇心を持って新しいことに挑戦すること、初対面の人と交わること、社会活動をいくつになっても続けること

つまりは毎週ロータリーの例会に出席することです!

卓話『音楽家になって』平成30年4月16日

千住 明様

作曲家 千住 明様

僕は30年以上プロの音楽家、作曲家として活動しております。今日は僕らの世界、どういうことをやってきたか等をお話しさせていただきます。

僕は本当に普通の学生でした。幼稚舎から慶應義塾に学びまして、慶應大学工学部に行きました。父が慶應大学工学部管理工学科を創った人なのです。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、妹の真理子がヴァイオリニストとして12歳でデビューしてしまうし、兄貴の博は芸大を受けると言うし、父が可哀想で僕は後を継ぐと言って慶應工学部に行ったのですが、どうも合わなくて、やっていることが全く分からないのです。その当時、実は同時にミュージシャンとして、父に隠れるように音楽の仕事をしていました。兄貴がある日、僕のコンサートにやって来て、「お前もプロになりなさい。日陰の身の音楽を日向に引っ張り出せ。」と言いました。兄貴の言葉に心が躍りました。そして東京芸大の作曲科を受けることを決め、工学部2年の時に、父にそのことを言いに行きました。父はその時本当に喜んで、そして直ぐに僕の学校の籍を抜き、家族全員を集めて「おめでとう。明がやりたいことをやっと見つけた。」と言ってくれたのです。僕の方としては、慶應を卒業してからでも良かったと実は思ったのですが、その時父に、「人生には捻らなければならないキーがある、今だと思ったらすぐ捻る。」ということを言われました。本当に家族皆が応援してくれました。

東京芸大に入った1年の時からクラシックを勉強しながら、仕事をしていました。代表的なものを申し上げますと、資生堂CM、映画デビュー作「226」、テレビアニメ「機動戦士Vガンダム」、テレビドラマ「家なき子」、世界に対する入口となった映画「RAMPO〜インターナショナル・ヴァージョン」、僕が1番有名になった音楽がアサヒスーパードライのCMです。モントリオール映画祭で賞を執りました映画「愛を乞うひと」、連続テレビ小説「ほんまもん」では妹の真理子がヴァイオリンを弾いています。この頃から千住三兄弟と言われるようになりました。エポックメイキングでありましたテレビドラマ「砂の器」、大河ドラマ「風林火山」は直球で勝負した作品です。NHKの「日曜美術館」は音楽を4年やって司会を2年やりました。2年間で約80人のアーティストを紹介しまして、凄く良い経験になりました。今、東京芸大で美術と音楽を一緒にするようなプログラムをやっていますが、このおかげだったと思います。

映像音楽というものは、僕らに対していろんなチャンスを与えてくれました。昔は映像音楽というのはサブカルチャー的に見られることがあったのですが、音楽界の人たちもすごく協力的になって、自分が変えてきた自負がありますが、随分道が変わって来たと思います。

父はパイオニアであり続けた学者で、僕も兄貴も妹も、父の歩いてきた道、あるいはコンセプトを大切にしていて、例えば「空(す)いている電車に乗れ」という言葉がありました。混んでいる電車に乗り込むのではなくて、誰も乗っていない電車に乗って、その道を究めろ、そして混んで来たら、直ぐ次の電車に飛び移りなさいということです。芸術あるいは文化というものは過去の人たちの歴史の上にあって、やっていないことを探すということです。勿論それには過去に何をやってきたということが全部頭に入っていないと、そこまでは行けないと思うのです。やはりそういう意味では、父の言っていたパイオニア精神を持ってやるのであれば、その頃「空いている電車」は映像音楽だったのです。

博と真理子は兄弟としていつも目標に置いています。僕はこれだけ映像音楽をやってきて、妹と兄貴と違っているところは、僕は完全にオーダー作家ということでした。いろんな人たちからオーダーをいただいて、その通りに作るけれども博と真理子は自分のブランドでやっています。僕も自分のブランドとして音楽の新しい発信ができればいいと思うのです。

東京芸大で僕がやっている、コラボレーションは、美術学部と音楽学部で何かコンテンツを創りましょうという、センター・オブ・イノベーション(COI)という文科省の国家プロジェクトです。そこで僕は「SENJU LAB」というグループを作って、ワークショップをやっています。そこからいろいろな作品が出ていますので、皆さまも目にすることが多くなってくると思います。文化的な部分もありますが、アーティスティックな部分もありますし、あるいは今の時代に沿ったものもあるかもしれません。

例えば昨年大変話題になった「クローン文化財」、東京芸大の宮廻教授がCOIと組んでやったプロジェクトです。東京芸大にはシルクロードのいろいろな宝物があり、それを修復専門の部署の方がクローンを作っています。また法隆寺の釈迦三尊像も完全に3Dコピーで作り直したということです。その作品の展覧会の音楽を、立体音響で会場の美術館で流しました。

いわゆる美術と音楽を我々が新しく世界に発信することを今やっています。ブリューゲルの「バベルの塔」という絵がありますが、この絵も立体的に作ったり、クローンを作ったりして、これに僕が音楽をつけたものがあります。オランダのボイマンス美術館から取り寄せた絵なのですが、現在ボイマンス美術館に戻って、この映像と音楽が物凄く受けております。これはエンターテイメントの世界で生きてきた僕にしてみれば、非常に面白いものです。

むしろエンターテイメントの世界とアートの世界が今同じになろうとしているのかなと思います。実に僕は今までこれをやるために、先ほど紹介した仕事もやってきたし、クラシックもやってきたし、やはり兄妹もいてくれたし、そういう意味ではここでやっと、僕の自分のブランドで物事を進められる時代になったなと思っています。

ありがとうございました。

卓話『トランプ政権の外交』平成30年4月2日

グレン・S・フクシマ様

米国先端政策研究所 上級研究員 グレン・S・フクシマ様

トランプ政権の外交を理解するためには、まず、トランプ大統領の世界観を理解する必要があります。彼は1946年にニューヨークで生まれ育っていますが、そこで経験したことが彼の世界観に大きな影響を与えていると思います。20代、30代のときは1970~80年代という、アメリカ経済が低迷し、一方で日本経済が急成長を遂げている時期で、彼は不動産業で、日本企業と競合し、苦い経験をしています。そういう若い時の経験が、彼の外交に関する見方に大きく影響しています。

彼はよくビジネスマンだと言われていますが、企業経営の経験はさほど無く、長期戦略を立案したり実施したりする必要性のない個別不動産物件を安く買って、高く売るという単発的な仕事しか経験していません。不動産業そのものが、最近までは国内向けのビジネスが中心で、グローバルな視点が必要のない業界でした。 また、彼は政治、政策、ワシントンDCの経験が全く無い、あらゆる意味で前代未聞な大統領なのです。

彼の外交に関する世界観は、アメリカが極度に弱体化しているという見方です。外国が不当にアメリカのことを利用し、経済的な利益を得ている、又、安全保障上アメリカばかりが他国の防衛の負担をし、アメリカが常に利用されているという被害妄想的な意識があります。そのため、彼の基本的な姿勢は、アメリカ第一主義です。アメリカのことを最優先に考え、アメリカの生活の仕方、伝統、歴史を守らなければいけない、それに挑戦する国、文化はアメリカが戦うべきライバルと位置づけています。

彼は第2次世界大戦直後に産まれたアメリカ人として、戦勝国アメリカは、ソ連と対抗するスーパーパワーであり、世界のリーダーであり、世界の秩序、定性を守る偉大な国であると考えています。つまり、トランプ大統領の頭の中では1950年代のアメリカのイメージがまだ生き続けているのです。

大統領は今までのアメリカの外交政策に対しては不満を持っています。彼から見ると、アメリカを外国が利用しているにも関わらず、過去のアメリカの政権が、それを容認し、対抗措置を取らなかったことに対する苛立ち、不満があるため、今までの政権の政策を楽しんで覆してると言えます。例えば、NATOなど同盟国との関係を軽視する、あるいはTPPからの離脱、NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉、パリ協定からの脱退、イランとの核開発の協定に対する疑問等です。

従来、アメリカは、多国間の協定を重視してきたにも関わらず、彼は常に2国間での交渉を好む傾向があります。その理由は、ビジネスマンとして不動産交渉の経験しかないため2国間で交渉する方がアメリカにとって有利だと考えているからです。

トランプ政権の外交の特徴のひとつは、予測が難しいことです。彼は、不動産交渉の経験から、交渉というものは「常に相手に自分がどう行動するかを予測させてはいけない。常にすべての選択肢がテーブルの上にある」と言っています。彼は、アメリカの欠点は、相手にアメリカが何をするか予測出来てしまうことだと考えています。しかし、同盟関係の維持には、相手の行動を信頼できる、予測できるということが必要ですが、彼は、こうした同盟関係は重要だと思っていません。 したがって、一貫性も欠けていて、ある日彼の言ったことが数日経つと変わってしまう、特に中国に関しては、この1年間の行動を見るとそう言えると思います。

トランプ大統領は、外交の経験もなく、関心もないと言えます。彼は常にアメリカの国内政治が最優先で、中国に対する関税や、北朝鮮政策も、国内政治を念頭に置いて決定しています。

最後に、アメリカの歴史は、周期的に振り子のように、サイクルで動いています。トランプ政権は、決してアメリカの将来を方向付ける政権だとは思いません。2044年頃にはアメリカは白人がマイノリティになり、人口の過半数は非白人になると予測されています。つまり、将来的には、開かれた、自由貿易主義的、かつ多様性を受容する国になると見る方が自然で、今の内向きで、排他的な姿勢はむしろ一時的なことだと考えるのが正しいと思います。

ありがとうございました。



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