「楽しく一緒に気分よく」

国際ロータリー第2750地区 東京六本木ロータリー・クラブ The Rotary Club of Tokyo Roppongi

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卓話

2017年3月

卓話『Rouge(アカ)』平成29年3月27日

Bize 千砂様

ドメーヌ ビーズ五代目当主 Bize 千砂様

最近、日本に戻るたびに日本は本当にいい国だと思います。今回も春場所で稀勢の里関が優勝したシーンを見てすごく感動しました。彼は13日目に肩に怪我をして、それでも千秋楽に素晴らしい相撲を取って優勝しましたね。それで思ったのが13という数字です。私も2013年に、私の住むブルゴーニュの村が50年に一度の雹の被害を受けて、ブドウをほぼ100%失ってしまったのです。主人はおそらくそれが原因で心臓発作を起こし、帰らぬ人となってしまいました。何が何だか分からない中で、うちで働く職人たちが力を発揮してくれ、雹のために小さな房をまばらにしかつけていないブドウを丁寧に収穫し、ワインが出来上がりました。ただ私にはつらい思いが詰まっていてテイスティングもできません。次の2014年、ドメーヌ・ビーズは日本人女性が当主ではやっていけないんじゃないかという雰囲気を周りから感じる中、私は必死にワインを作りました。

私が継いだ蔵は主人の妹との共同経営です。そして妹とはブドウの作り方で意見が違いました。私は自然の作りをしたい。妹は伝統的なブルゴーニュのやりかたで使うべき農薬は使いたい。なんとか14年は出来たけれど、その先どうしていくのか本当に悩みました。ただ妹も私もドメーヌを愛しているのは同じ。それで私は無理してすぐに進めなくとも、実績を作って一歩ずつ認めてもらおうと考えることにしたのです。2015年は天候も味方してくれて健康なブドウができました。その頃、今度は13年の苦労したビンテージをビン詰めして売り出す時期になりました。私が封印していたワインを仕事上テイスティングしなければならない。輸出した先のアメリカでその13年産をテイスティングしました。正直言って今までのうちの作りではありませんでしたが、でも飲んだときの感想は「何だ美味しいじゃん」です。それが私の気持ちを上向かせてくれました。2016年4月、今年こそ頑張るぞと思っていた矢先、ブルゴーニュを遅霜が襲いました。これも50年に一度という災害です。この遅霜でブドウは2013年を上回る被害を受けましたが、私には2013年の経験、そしてその年のワインを飲み受け入れたことから授かった力がたっぷりあったので、負けてたまるかと心を決め、少量残っているブドウで私らしいワインを作ることにしました。妹に、もうこれ以上のリスクはないんだから、とにかくやらせてくれとお願いし、私の作りで最初から最後までやりました。できたワイン、通常は13万本できるんですが2016年は2万本です。そのワインは今、熟成中で、テイスティングすると自分を褒めたくなるくらいおいしく仕上がっています。

通常、赤ワインは収穫後、除梗(じょこう)処理をして実だけ漬け込みますが、うちは伝統的に房のまま漬け込みます。なんでそんな作りなのか主人に聞いたことがあります。彼の答えは、親父もおじいちゃんもそうやっていたからというものでした。ブルゴーニュのワインが皆さんの心を掴むのは、そういった、醸造学校では学ぶことのない、実際に働いてきた人たちの心がそのままボトルに納まっているからなのかなと思います。

ありがとうございました。

卓話『社会貢献の流れとロータリー』平成29年3月13日

榊原 節子様

地区奉仕研究委員長 榊原 節子様

今日は奉仕研究委員会のお話をいたします。奉仕研究委員会は、広い視野から奉仕を考えることでロータリーの将来に活かそうという考えです。

私は資産運用・資産管理が仕事で、世界資産家会議などに出席したのですが、そうした会議には必ずと言っていいほど財団や社会貢献の分科会があります。それで私、ロータリーに入ったとき、なんで奉仕に関する研究会がないのかと思っておりました。

社会貢献活動の潮流は、企業に関して言えば第一段階は何と言っても良心的に仕事をすることだと思いますが、これに関しては法整備も整い進んできました。次第に貢献の方法が資金、商品、技術の提供だけでなく、どんどんバラエティに富んできています。例えば社会貢献型の株主優待や寄付付き商品、ボランティア休暇や利益の1%を社会貢献に使う運動などです。最近のキーワードはNPOとのタイアップかと思います。例えばユニクロが、バングラデシュでNPOと一緒になって廉価な服を製造販売する試みです。社会貢献が盛んになった背景には国民意識の変化があります。調査によると就職の際の会社の選択基準として、給与と同時にどのようなインパクトを社会に与えられるかを考える人が多くなっていて、その中に社会貢献も入るわけです。営利企業といえども事業性だけではなく社会性が求められる。同時にロータリーのような非営利組織は、社会性のみでなく、事業性、資金、時間の効率的使用、創意工夫が求めらる時代です。

ソーシャルビジネスとは社会的問題を事業で解決しようという試みです。顕著な例はノーベル平和賞を受けたグラミン銀行のユヌスさんです。彼は1974年27ドルを貧しいバングラの家族に貸して考えました。27ドル1回貸して終わりではなく少額融資を行う銀行を作ってはどうだろうかと。今では貸出残高1兆円、返済率98%を誇るそうです。それはソーシャルビジネスという形で初めて可能になったと思います。

クラウドファンディングという資金調達方法もソーシャルビジネスで使われます。沖縄の離島を回るお医者さんの小型飛行機が古くなってクラウドファンディングの会社に頼んだら、3600万円集まった。ロータリーのファンドレイジングの方法も改めて考える必要があります。

NPOやソーシャルビジネスを見ていると自分の特徴を生かし、得意なことに注力しています。ではロータリーの得意とは何でしょう。それは専門力・ネットワーク力・民間である自由さではないでしょうか。私はロータリーと起業家、社会起業家は相性がいいと思います。ロータリーの経営・専門家としての知恵や人脈を提供することで、ともに日本の、人類の将来に大いに貢献できると思います。

またロータリーのネットワーク力は高く評価されています。奨学生や平和フェローの人達しかりです。ボルカーさん、かつての米国の連銀総裁も、ロータリーの奨学生になってヨーロッパ中の人に紹介してもらえことを非常に感謝していると書いています。



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