つなげよう、つながろう、新しいやりかたで (Connect and Be Connected in Innovative Manners)

国際ロータリー第2750地区 東京六本木ロータリー・クラブ The Rotary Club of Tokyo Roppongi

文字サイズ変更



卓話

2016年5月

卓話 『日本企業の人材戦略』平成28年5月30日

橘・フクシマ・咲江様

G&S Global Advisors Inc. 代表取締役社長
橘・フクシマ・咲江様

私は20年間人財の仕事をする中で、人財に対する「拘り」を持つようになりました。拘りの1。私は長年人材の「材」には財産の「財」を使っています。人財には市場価値があり流動性があるからです。拘りの2はダイバーシティの定義。様々な国の人と仕事をする中で、「国籍や性別はその人の個性の一つに過ぎない」と考えるようになりました。そうして初めて、国籍、性別、年齢に関係なく、「適材適所」の育成と「適所適材」の配置が可能になる。拘りの3は「適材適所」に加えて「適所適材」。「適所適材」とはそのポジションのミッションに最適な人財を内外を問わず登用すること。もちろん優秀な人を採用してその育成に適したポジションに付けて育てる「適材適所」は重要ですが、今のように激変する世界ではすべてのポジションでその時間はありません。拘りの4は「真の男女共同参画」。今までは女性が男性の領域に参画するのが主でしたが、その逆もできて初めて真の男女共同参画です。最後は「外柔内剛」。つまり企業理念などの信念は譲らずに、多様な価値観と国籍を持つ社員には柔軟かつしたたかに対応する。こうした考えは、私自身が、夫と出会ったあとアメリカでビジネスの世界に入った経歴から学んだことです。

世界のトップ200社の国籍の推移を2004年と14年で対比すると、アメリカが20社減り、中国が25社ランクインしています。こうした経済の動きの中で、日本企業の今後のグローバル展開は、本社も含めて最適の機能を最適の国に置くことになる可能性が高い。すでに、アメリカのコンサルティング企業では、発祥の地がアメリカでも本社を社長のいるパリやロンドンに置くという例が出ています。こうした変化は当然、人財市場にも影響を与え、以前は欧米型リーダーシップ=グローバルでしたが、今はアジア型のリーダーシップも欧米型も両方できる人財が望ましいという傾向になっています。欧米では戦略性を重視し、アジア、特に日本は現場、戦術的なものが重要。前者では財務、数字が重用されるのに対し、後者は人間関係が重要といった違いがある。しかしこのどちらもできるハイブリットなリーダーは日本では不足しています。

経済同友会ではこの4年間ダイバーシティ促進策を検討してきました。人口減少による労働力不足の解決策の一つは女性や高齢者などの潜在的な人財と外国籍人財の登用です。女性に関しては、女性の取締役増加のために、経営者による女性登用の行動宣言を行い、具体的な二つの活動をしました。意思決定に対する女性の参画に関する年次調査とジュニアリーダーシッププログラムという研修プログラムによる男性の意識改革の促進です。

行動宣言とは企業が目標値を掲げて情報公開し経営者の意識改革を促すもので、同時に各関係者ごとにアクションプランを明示して逃げ道がないようにしました。その結果2015年までの3年間で女性の取締役が増えており、多少の効果があったと思っています。

ありがとうございました。

卓話 『クロネコの恩返し ~企業としての新しい社会貢献のあり方への挑戦~』平成28年5月23日

木川 眞様

ヤマトホールディングス(株)代表取締役会長
木川 眞様

弊社は1919年に創業し、3年後に100周年を迎えます。社員は現在、約20万人います。このような大きな会社になった原動力はかつて社長であった小倉昌男が40年前に始めた宅急便です。宅急便は、「サービスが先、利益は後」という理念のもと、お客様のニーズに合わせてサービスを提供する考え方を社員が徹底的に実践したことで、日本の社会インフラになりました。ただし、この宅急便も、私が入社した頃には曲がり角に来ていました。同業者が乱立し過当競争になっていたのです。私に与えられた使命は、創業100周年に向けた成長戦略を描くことでした。私はそこで9か年の長期経営計画として「DAN-TOTSU経営計画2019」を打ち出し、2019年までに「顧客」「株主」「社員」「社会」の4つのステークホルダーの満足度の総和をダントツにすることを描きました。そして、計画を進めるための事業戦略として、海外での宅急便ネットワークをはじめとするグローバルな戦略と同時に、国内のよりローカルな戦略を立てました。特に、よりローカルな戦略として、高齢化、過疎化が社会問題となる中で、宅急便をこれまで育ててくれた生活者や自治体への恩返しを、地域密着型のサービスを行政と連携して取り組む「プロジェクトG」を展開しています。Gはガバメント、地方自治体を意味します。社会インフラとして開放するのはヤマトグループが作り上げたネットワークや全国に約6万人いるセールスドライバー、そしてITや決済の仕組みです。

そこで提供できるサービスの一つは、今まで行政や民生委員の方が担ってきた高齢者等への生活支援の領域です。行政と共同で高齢の一人暮らしのお宅に簡単な端末を置きました。行政に直結するSOSボタンと困りごとを相談する御用聞きボタンの二つがついています。御用聞きボタンは我々のコールセンターにつながっていて、日々の買い物代行を主な仕事としています。

もう一つは地方産業の振興です。鳥取県の境港(さかいみなと)の近くには電子部品メーカーが集積しているのですが、その製品はほとんど神戸大阪経由で輸出入されており、地元には雇用が生まれず港の荷物取扱量も増えません。それを打破するために山陰流通トリニティーセンターを県と地域との三者共同で作り、我々は貿易実務を担当しました。地域の運送には手を出しません。それは地元に担い手があるからです。これらのプロジェクトGの取り組みも、現在では総件数が約1500件ほどになっています。

ただこの活動の実際の担い手は現場です。それでヤマトグループのDNAを社員に浸透させるため、私は二つの施策を講じました。一つは社員同士がお互いに褒めあう文化「満足BANK」を導入したことです。褒めた人、褒められた人双方にポイントが付与される仕組みをイントラネット上に構築し、獲得ポイントの職種別上位5人を呼んで、労をねぎらいました。もう一つは感動体験ムービーと言って、社員が日々の仕事で起きた感動体験を集めて皆で共有するためのDVDを作り、我々が先輩方から受け継いできたDNAを伝えるための社内研修に活用しています。このようにして、これまでヤマトグループが培ってきたDNAを絶えず伝え続けています。

ありがとうございました。

卓話 『みんな一緒に』平成28年5月9日

千 玄室様

裏千家第十五代家元
千 玄室様

この頃「もてなし」という言葉が表看板みたいになっていますが、それはおかしいのですよ。これは見せびらかすものじゃないのです。もてなしは心の問題です。口に出したりするものではありません。

さて私は学徒動員で海軍に入り、飛行機乗りとして訓練を受け、昭和20年の4月には特別攻撃隊編成で鹿児島の鹿屋基地へまいりました。私は茶家の息子ですから、利休が戦陣に赴いたときと同じように茶箱のセットを持っておりました。みんなが「お茶にして」と言って私のところへくる。配給の虎屋の羊羹を配ってお茶を点てたとき京都大学出身の戦友が「千な、生きて帰ったらお前のところの茶室で茶を飲ませてくれ」と言ったのです。その瞬間に私はゾーッとしました。あ、俺たちは死ぬのだ。出たらもう帰ってこれない。250㌔爆弾2つ積んでいる。その瞬間、おふくろに会いたいと思いました。怖いのですよ。そのときの6~7人がみな、「お母さん」と涙をボロボロ流して、その2~3日後、みな出ていきました。その戦友をはじめ621柱は今でも沖縄周辺の海底に眠っています。「お母さん」という声がまだ私の耳の底に残っています。

先月、私はシンガポールに日本との国交50年ということで行ってまいりました。ナザン前大統領は、私が差し上げたお茶をしみじみ味わって「お茶は情の文化ですね」とおっしゃる。日本の国民がみんな持っている『情け』。情けとは相手に対する思いやりです。先ほどの『おもてなし』は、そこから来ている。その思いやりの心があるとナザン前大統領がおっしゃった。この情けが思いやりの基なのです。

私は32歳の時、父の命でロータリーに入りました。当時の会長から「幹事をやってくれ」と言われ、そのとき私は青年会議所の理事長をやっていて再三再四断ったのですが、断り切れず、結局青年会議所の理事長をやりながらロータリーの幹事をやったのです。大変なことを引き受けた。それが私の述懐です。京都南ロータリークラブに10年おり、父が亡くなって京都ロータリークラブに移籍しました。私はロータリーでいろいろ教えていただき、メーキャップもして55年皆出席、おかげさまでRIより表彰も受けましたが、自分がロータリーの本山のガバナーを経て理事になったとき「なんとロータリーは偉大な組織だ」と思いました。

ロータリーの会長は毎年変わりますが理事は2年です。そして理事を終えた者の中から選ばれてロータリー財団のトラスティをつとめる。国際ロータリーが行ういろいろなプログラムに資金援助するためにロータリー財団があり、財団は皆様からの寄付で成り立っています。

ロータリーは最近、格差が出てきました。新しいクラブ創りをし過ぎたため、わけもわからずロータリーに入ってご飯だけ食べて帰る会員が世界中に多くなった。その意味でロータリーをこれからどう持っていくかが難しい。ロータリーの本質を皆様に知っていただき、世界に自分たちの手を差し伸べ平和を創ろうとする。それがロータリーの志です。ロータリーの指向性をクラブで満喫して出来る奉仕をもって、それを世界に放出してください。貯めるのではなく吐き出す。それがお布施、英語で言うService Above Selfです。

ご静聴ありがとうございました。



▲ PAGE TOP