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国際ロータリー第2750地区 東京六本木ロータリー・クラブ The Rotary Club of Tokyo Roppongi

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卓話

2016年1月

卓話 『世界経済のパラダイム・シフトのなかでの日本と中国』平成28年2月29日

小島 明様

世界貿易センター東京 会長
小島 明様

ジョージ・ソロスというヘッジファンドのリーダーが今年1月、ダボスで重大発言をしました。年初からの世界の株式・金融市場の大変動の原因は中国のデフレと過剰な債務にあり、中国経済のハードランディングは不可避だというものです。

中国の外貨準備は今3兆ドルあります。それが急激に減り出したのが昨年、中国が元を切り下げ始めた頃。中国の外貨準備というのは半分以上は民間企業の外国からの借金で、中国銀行に強制的に吸い上げられて溜まったものです。外国が返せと言ったら皆自動的に出て行ってしまう。この返済圧力が背後にあってソロスの発言になったのだと思います。

中国は70年代末からの改革開放で急激に海外から資本を導入しました。技術も工場も経営ノウハウもないところに外国企業が入って中国経済を活性化させた。それを支えたのが中国版の借金経営。そして世界経済全体が調整の段階に入った今、どんどん不良債権が増えています。

そういう流れの中でアベノミクスを点検してみます。3本の矢の1本目は政府ではなく日銀だけが頑張っている。2本目、財政の機動的な対応。景気刺激策は少しやったけれど借金の調整は進んでいません。3本目の矢の各種政策は矢の束はあっても弓がないんですね。これを絶対やるんだという政治的意思。みんな日銀に押しつけて株が上がるとほっとしてしまう株価連動政権。

日本の景気はバブル崩壊後も何度かうねりがあって、今、踊り場に来てはいますが5回目の上昇局面です。景気の底は2012年11月で翌月からは上昇局面。これは安倍政権が誕生した月で、放っといても景気が上がる過程で登場した運のいい政権。しかし景気の上昇はアベノミクスの効果ではなくて循環的な要素。それを除いたあと何が残るか。望まれるのは経済の基礎体力、潜在成長率で、成長戦略ではこの体力を上げるのが重要ですが、今のところ全然それが見えない。金融緩和だけではなく3本目の矢である政策が決定的に重要です。

日本は輸出立国と言われますが、経済の輸出依存度の比較で見ると153か国中141位。経済の規模に対して最も輸出が少ない国です。貿易大国に見えるのはトヨタや日産などの大企業が一杯輸出しているからで、中堅企業は余り海外に関心がない。また海外からの資本・企業誘致を経済戦略の柱にしていますが、海外からの投資残高を経済の規模で割ると3%しかなく、世界の平均から大きくかけ離れています。

民間企業の手元流動性、つまりゆとり資金の額をみると日本は突出して高い。日本の企業は高度成長のときは借金をしてでも積極的な投資をしましたが、この20年間、借金は返し、人件費を節約し、資産を売ったりして得たお金を手元に置いて積み上げている。資本主義経済でありながら世界で最も投資をしない企業経営。こういう長い流れの中に現在を位置付けることで、本当の次の政策が決まるのではないかと思います。

卓話 『国際通貨体制の展望 元と円』平成28年2月15日

行天 豊雄様

公益財団法人 国際通貨研究所 理事長
行天 豊雄様

世界の経済というのは物と人とサービスの動きとともに金が動いているわけで、その際一番みんなが喜んで使うのが基軸通貨です。申すまでもなく今の世界の基軸通貨はアメリカのドルです。第二次世界大戦後、アメリカはダントツに大きく強い国で皆がドルを使っていました。またその頃アメリカはドルの価値を金で保証し交換に応じていました。ところがその後アメリカの貿易赤字が増えると、他の国の中にはドルの価値に不安を持ち、金に替える国が出てきました。その結果アメリカが持つ金が減り、1971年ニクソン大統領が金とドルの交換をやめると発表したのです。そこでドルの基軸通貨体制は崩れたのですが、それでもみんなドルを使い続けている。やはりアメリカは一番国力が大きいし、実際にドルが使いやすいからです。ところが最近は中国が強くなって人民元をドルに並ぶ国際的な通貨にしようと言うようになりました。

1949年の成立後、中国は経済的に貧しい状態が続きましたが、1970年代の半ばに文化大革命が失敗し、そこで出てきた鄧小平が中国を一変させました。彼はイデオロギーより国民の生活が大事だとして、国民に、これからは自由に商売をやってよいと経済開放政策を打ち出したのです。それで皆が先を争ってビジネスを始め、結果、中国は世界第2の経済大国になりました。その意味では鄧小平の政策は大成功だったのですがマイナス面も出ました。汚職、腐敗、格差の拡大、資源の枯渇、環境の劣化です。

2012年、新しい共産党の指導者となった習近平は路線を変え、中国の経済と社会を改革すると言いだしました。一つは経済成長一本やりをやめ多少成長率は低くても国民が安心して暮らせる小康社会を作ること。もう一つは汚職撲滅。これは政敵を倒す目的もあると思います。3番目はこれからの中国は世界の指導者の一人とならなければいけないというものです。

ただ彼の言うことが本当にできるかというのは大問題です。成長のスピードを落した結果、今、中国では企業の倒産や失業が多く出ています。綱紀粛正にしてもどんな罪を犯したのか分からないうちにある日突然失踪したり裁判もなく留置場に入れられたりしている。中国の憲法にも表現や言論の自由が書いてありますが、実際には共産党は憲法の上にあって、憲法は空文化している。国際的役割でも人民元を世界の通貨にするため規制を撤廃すると言うけれど、今まで規制で抑えていたものを急に自由化するといろいろ混乱が起きる。一番根っこには共産党が憲法より偉いという制度に国民が疑惑を持つのではないかという大きな課題があります。

習近平政権は2022年までは続くわけですが、その間に改革が実現するかどうか分かりません。従ってその間は中国の存在は世界にとって、特に日本にとって大きな変化の要因になると思います。対する日本はアジアでの立派な立場を維持し国力を保持する努力が必要だと思います。

ありがとうございました。

卓話 『豊かな老後は自分でつくる』平成28年2月8日

大塚 宣夫様

医療法人社団 慶成会 会長
大塚 宣夫様

私は東京で2か所老人病院をやっております。私がこのような病院を始めたのは友人から寝たきりになったおばあさんのことで相談を受けたのがきっかけです。当時そういうお年寄りを預かってくれる病院はまさに現代の姨捨山。病室は大変な臭い、おむつ交換も1日2回ぐらいというありさまでした。私はそれにショックを受け、せめて自分の親だけは安心して預けられる施設を作ろうと思い1980年に病院をスタートさせました。

私どもの一番の強みは生活の場としての快適な空間や食事があり、必要な介護やリハビリや医療を調達できることです。問題はかなりお金がかかることで、保険が使えるとはいえ、ご本人の負担は月に4~50万から80万ぐらいです。

今、日本で老後というと65歳からですが、65歳の方の平均余命は男性で19年、女性は24年。私はそれを3つの時期に分けました。そしてそれぞれの時期に心がけてほしいことがあります。

まず65から75歳。ここではまだ皆さん元気です。一番大事なのは働ける間は仕事を続けること。働くことこそ元気と輝きの元。もう一つ、家族に頼って生きようなんていう気持ちは一切捨てる。毎朝とにかく家を出る。男性は夕飯まで食べて帰るぐらいが理想。それができないなら一人で留守番できるぐらい家事に習熟すること。そうしたら奥様は自由な時間を得ることができて皆さん感謝されること間違いなし。

次は75から85歳。この時期の人の体は車で例えればポンコツ車。頑張って走るとその後が大変。でも走らなければ錆ついて動かなくなる。だから用心しつつ最大限に動かす。これがポイントです。

そして85歳過ぎたらもうじたばたしない。誰にも遠慮せずやりたいようにやる。この覚悟を決めれば人生はまだまだ楽しい。皆さんこの頃になるといろんな病気がでますけど、医者にかかっていいことはあまりない。例えば今飲んでいる薬を半分に減らしてみてください。元気になることはあっても悪くなることはないです。そして健診そのものもやめる。癌が見つかって放置しても進行も遅いし、余命の長さには関係なし。これが私の最大のアドバイスです。

家族に介護を頼るのは家族も大変です。それに家族がやる介護は必ずしも快適じゃない。介護というのは本当にプロの技で、知識と技術、道具立てと人数が必要です。

老後こそ独立自尊の精神で生きるべきです。老後の沙汰、最後の頼りはお金。老後とは不便、不自由、気兼ねの塊りですが、お金で解決できるものは沢山ある。例えばうちの病院に入ると1日2万5~6千円かかります。もし家で家族が介護してくれるなら、毎日その分をポチ袋で上げてごらんなさい。介護の奪い合いですよ。こういうときにこそお金を使うべきです。

大往生を実現させるためには、あちこち見て回り自分なりの計画を立てておくこと。介護はプロに預け、家族は笑顔で見舞いに行く。そのお金はご本人が貯めた分を使うことです。

ありがとうございました。



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